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コアラを絶滅から救え…DJIのドローンとAIが活躍

コアラを絶滅から救え…DJIのドローンとAIが活躍
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2019年9月ごろ、ニューサウスウェールズ州で発生した森林火災はオーストラリア東部を中心に延焼を続けた。3月に鎮火するまでに、日本の国土面積のおよそ半分に相当する地域が焼失したといわれている。

野生動物も、カンガルーやコアラなど億を超える頭数が犠牲になったといわれている。WWF(世界自然保護基金)オーストラリアは、同国のクイーンズランド州とニューサウスウェールズ州政府に対し、コアラを絶滅危惧種に登録するよう提案している。

コアラは、森林伐採による生活域の減少や干ばつなどにより、この大規模火災以前から個体数が急速に減少を続けている。そんな中、クイーンズランド工科大学教授、グラント・ハミルトン博士のチームは、DJIのドローンとAIを活用してコアラの保護に取り組んでいる。

絶滅危惧種の保護には、まず、生息地域と頭数の正確なデータ収集が必須であり、効率の良い調査が動物の絶滅を防止する鍵となる。つまり、どこにどれくらいのコアラが住んでいるかの把握が大切である。

しかしながら、研究者が森林を歩いて頭数を数えるこれまでの手法では、1日で数ヘクタールをカバーするのが限界だった。加えて、コアラは捕食者である肉食動物から姿を隠すように進化しており、地上からは発見しづらいという難点もある。

現在、ハミルトン教授のチームはこの調査にドローンとAIを使っている。ドローンに装備された赤外線カメラが上空から熱を感知してコアラを見つけると、AIがその周辺にいる頭数を確認する。このやり方であれば、わずか数時間で、約50ヘクタールをカバーすることができるそうだ。

研究者は、事前にドローンのルート設定を行えば、あとはモニターを監視しているだけで正確なデータを効率よく収集することができる。

ハミルトン教授のチームは、そうして得られたデータを基に地域ごとの頭数増減など重要なレンドを分析し、そのエリアに合った効果的な保護対策を検討している。保護活動に必要なのは、単に頭数を数えるのではなく生活環境を守ることにある、と同教授は語る。そのために必要な正確で信頼性の高いデータを速く効率よく収集するという作業には、ドローンが強力な武器となっているようだ。

WWFオーストラリアによると、2月13日までに、ニューサウスウェールズ州だけでも6382頭のコアラが焼死したそうだ。また、クイーンズランド州とニューサウスウェールズ州に生息する頭数は2000年から半減したという報告もある。

ドローンやAIといったテクノロジーの進化が、動物たちの命を救う大きな力となり、人間だけでなく動物たちにとっても住みやすい世の中の実現をサポートしてくれることに期待したい。

《石川徹》

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