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WWF、新型コロナと野生生物の取引市場に関する意識調査結果を公開

新型コロナと野生生物の取引市場に関する意識調査
  • 新型コロナと野生生物の取引市場に関する意識調査

国際的な環境保全団体である世界自然保護基金(WWF)は、新型コロナウイルス感染と野生生物取引に関する市民の意識調査の結果を公開した。

同調査は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大が進む中、ウイルス感染症の温床としてその危険性が指摘されている、違法または規制が不十分な野生生物市場に対し、市民がどのような意識を持ち、政府にどのような行動を求めているかを調査したものである。対象は、香港、日本、ミャンマー、タイ、ベトナムから、約1000人ずつ、性別・年齢・人口構成に応じ無作為に抽出。3月3日~11日、WWFと調査を委託したGlobeScanがオンラインで実施した。

調査の結果、香港、ミャンマー、タイ、ベトナムでは93%の回答者が、“違法または規制が不十分な野生生物の取引市場を閉鎖する各政府の政策”を「支持する」と回答し、79%がこうした“市場の閉鎖が将来の大規模な感染症発生の予防に有効だと思う”と回答した。一方、過去12ヶ月間に、“自分または知人が野生生物を購入した”と回答した人も9%いたという。

日本でも、“市場閉鎖は感染症の発生を防ぐ対策として有効”と回答した人が72%と、他の4地域とほぼ同じ割合となったが、“政策を支持する”と回答した人は54%と低い結果になった。これにより、野生生物の取引は、日本とは関係の薄い問題という認識があることもわかった。しかし、WWFは、日本でもペット利用を目的とした野生動物の取引は多数存在しており、密輸された個体が国内取引市場に紛れても区別ができないなど、多くの問題があると訴えている。

同団体は、今回の結果発表を機に、特にリスクの高い東南アジアの規制不十分な野生生物の取引市場閉鎖に向けた各国政府の取り組みを支持し、日本については、海外から生きた野生生物が密輸されるエキゾチックペット市場が存在すること、そこに感染症のリスクが十分に潜んでいる点を改めて指摘し、改善を促していくとしている。

《鈴木まゆこ》

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