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【セキセイインコと暮らす日々】忙しい鳥は幸せな鳥…エンリッチメントに基づくインコの飼い方とは?

セキセイインコ ハルクインのカイちゃん
  • セキセイインコ ハルクインのカイちゃん
  • ケージ内に設置したロープ
  • セキセイインコ ハルクインのカイちゃん
  • セキセイインコ ハルクインのカイちゃん
  • 少し食べるのが大変な位置にエサ箱を置く
  • ケージ内のブランコ(もともとベルがついていたが…)
  • ブランコと写り込んできたカイちゃん
  • セキセイインコ ハルクインのカイちゃん

アメリカでは、“Busy bird is Happy bird.(忙しい鳥は幸せな鳥)”という言葉があります。エサや水を探したり、敵から逃げたりと毎日を忙しく過ごす野生下と異なり、暇な時間の多い飼育下のインコにとって、忙しさ=良いストレスの存在は大切です。

環境エンリッチメントとは

環境エンリッチメントとは、動物が本来持つ習性に従った行動をできる飼育環境を整えることを指し、それら動物にとっての幸福を考える学問です。自然の生息環境と比べ環境が制限されるペットや動物園等の飼育動物には、単調で感覚的な刺激が足りません。平たく言えば、苦労する、時間をかける、頭をつかう「良いストレス」を与えることが、彼らの幸せに繋がるという考えです。

ケージ内で暇にしているインコ達の感情を例えるならば、私達が新型コロナウイルスの影響で自宅にいる時間が増えて「お家にいてもすることがないな」と思う感情と同じです。何かに熱中したり、楽しんだりすることで暇だと思う時間を減らすことが幸せに繋がるのは明確でしょう。

セキセイインコ ハルクインのカイちゃんセキセイインコ ハルクインのカイちゃん

環境エンリッチメントは主に動物園や水族館などで飼育される動物目線で語られることが多いため、全ての情報を単独飼育のケースが多い家庭でのペット飼育に活かせるとは限りませんが、ここではセキセイインコの飼育に役立つエンリッチメントとその考えから演繹した、私なりのインコを暇にさせないための工夫を紹介します。

採食エンリッチメント

何の苦労もなしに決まった時間に同じ場所でエサにありつけることは一見楽で良いように聞こえますが、すぐに食事が終わってしまい暇な時間だけが残ります。そこで、与えるエサや与え方を変更・追加することで、採食行動を促します。

具体的には、常に食べやすい位置にエサを配置するのではなく、工夫なしでは食べにくい容器に変更したりエサの配置を変えたりすることが例に挙げられます。私の家では、エサ箱の配置を工夫しつつ日によって位置を変えています。また、オヤツは先にものを取り出してからでは食べられないようにビンの底に入れたりしています。

少し食べるのが大変な位置にエサ箱を置く少し食べるのが大変な位置にエサ箱を置く

構造エンリッチメント

ケージの構造や設備を変更・追加することで、行動の選択肢を増やします。ロープなどのアスレチックを配置したり、ケージ内に階層を設けたりすることで上下方向の移動が自由になり、暇をなくすだけでなく適度な運動を促し、心身の健康にも繋がります。我が家でも、ケージ内の止り木を減らしロープやブランコを備え付けています。

ブランコと写り込んできたカイちゃんブランコと写り込んできたカイちゃん

感覚エンリッチメント

ケージ内の色を変えたり、触って音の出るベルなどのオモチャを入れたり、スピーカーなどで音楽を流したりすることで、動物の五感を刺激します。ベルや鏡、知恵の輪などインコの個性によって好きなオモチャのタイプは異なるので、インコ自身が喜ぶものを選びましょう。また、口笛式の発生システムをもつインコは高音域の声が得意であるためか、女性アーティストの声を好むケースが多いようです。

《参考文献》
・日本動物園水族館協会飼育ハンドブック編集委員会「新・飼育ハンドブック 第5集」
・大泉書店 磯崎哲也「幸せなインコの育て方・暮らし方」

《滑川寛》

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