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ニューヨーク州でペットショップでの動物販売を禁止する法案が上院を通過

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  • ジャナリス上院議員
  • ニューヨーク州上院で会見に出席した犬たち
  • ニューヨーク州上院で会見を行うジャナリス議員
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犬・猫・ウサギをペットショップで販売することを禁止する法案が今年7月、ニューヨーク州上院で可決された。今後は、下院での審議が行われる。

ペットショップでの動物販売を禁止する法案

マイケル・ジャナリス(Michael Gianaris)上院議員によると、この法案はパピーミルと呼ばれる劣悪な環境下で繁殖を行う事業者を排除することを目的としている。ペットショップで販売されている動物の多くがこうした環境で生まれ、疾患を抱えているケースも多いと言う。一方で、この法案には愛護団体等との連携の上、ペットショップが保護犬・保護猫などに新しい飼い主を探すためのスペースを設けることを促す条文も含まれている。

カリフォルニアでは既に施行

動物の福祉向上をめざし、ペットショップを規制する動きがアメリカで始まっている。カリフォルニア州では、2019年1月より繁殖業者等から仕入れた犬・猫・ウサギをペットショップで販売することが禁止されている。これらの動物で店頭での販売が認められているのは、保護された個体のみだ。

2017年10月にカリフォルニアのジェリー・ブラウン(Jerry Brown)州知事がこの法律を承認した際、アメリカ動物虐待防止協会(ASPCA)が声明を出した。

「この画期的な法律によってパピーミルなどからのカリフォルニアへの供給網が遮断され、虐待的な行為によって利益を得ている悪徳業者の追放につながるでしょう」。

ペットショップからの反論と予期しないリスクの指摘

当然、ニューヨークでの法律施行に際しては反対の声もある。ニューヨークタイムズが報じたところによると、あるペットショップ経営者は法律の意図が正しいことは認めながらも、方法に疑問を感じるそうだ。

そのオーナーは、子犬たちが虐待的な環境で繁殖を行っているブリーダーから来る可能性を知り、数年前に経営方針を変更した。店に置く犬たちを仕入れるのは地元の小規模ブリーダーに限定し、そのほかは一般家庭で予定外に生まれた子犬を引き取っているそうだ。また、店頭にいる犬のうち、半分は保護施設などから迎えているという。この法律によって保護犬以外が認められなくなれば、事業は続けられないだろうとのことだ。

別のペットショップ経営者は、予期しない悪影響の可能性を指摘する。この法律によって、インターネットでのペット売買や法の目をくぐり抜けるようなビジネスが増え、かえって犬や猫などの福祉が脅かされる懸念があるという。これは、REANIMALで以前紹介したイギリスの事情(関連記事)とも共通するリスクだろう。イギリスでは今年の4月、悪質なペット繁殖・販売業者撲滅のための「ルーシー法」が施行されたが、その影響で違法に動物を売る業者の手口がより巧妙になる懸念が指摘されている。

今後の流れ

当然のことながら賛否両論あり、成立までには紆余曲折あると予想される。この法案は、この後ニューヨーク州下院を通過すると、アンドリュー・クオモ州知事の承認を経て施行されることになる。現在のところ、下院での審議スケジュールは未定。今後の動向に注目したい。

《石川徹》

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