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予算1万円以下!? 自作IoTでハムスターのバイタルチェックと健康管理

市販電子部品で小動物のバイタルモニターゲージをつくる
  • 市販電子部品で小動物のバイタルモニターゲージをつくる
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  • ハムスターの日々の体重測定や活動時間を把握

犬や猫の健康管理に首輪型、ペンダント型のバイタルメーターを利用する方法がある。ペットが身に着けたセンサーによって脈拍や運動量を測り、異常があればスマホなどに通知を飛ばしてくれる。これをインコやハムスターといった小動物でもできないだろうか。

ハムスターやウサギなどは、あまり首輪などをしない(できない)。センサーを取り付けるのもサイズに合った製品はないだろう。しかし、小動物は、意思疎通が犬猫より難しい(と思う)。ケージの中へ常時チェックの目が届きづらい。むしろ犬猫よりセンサーやITを活用した健康管理のニーズは高い。「最近、回し車の稼働が落ちてないか? 元気ないんじゃないか?」といったことが、「回転数」というデータで可視化できるのだ。

今のところ、手軽に入手できるのは首輪などでペットに取り付けるタイプのセンサーやバイタルメーターのみ。ないなら「作る」という解決方法がある。しかし、自分で必要な部品を買ってきてプログラムも作るのはちょっとハードルが高い。電子工作やITの知識がなければなおさらだ。

ならば、間をとってキットのように作れる小動物用バイタルモニターシステムはどうだろうか。「D+IO」というプロジェクトが公開している「小動物ヘルスケアデバイス」は、ハムスターのゲージなどに各種センサーを設置し、それを制御するコントローラーとプログラムを「レシピ」としてもまとめた。

公開されているレシピは、ハムスターのバイタルモニターシステムを作るための内容になっている。モニターできる項目は以下のとおりだ。

ハムスターの活動時間(モーションセンサー)
特定エリアの通過回数(距離センサー)
回し車の回転数(ドアスイッチ)
毎日の体重測定と平均値(歪みセンサー)
ケージ・ケースの温度湿度(環境センサー)

センサーのデータは、マイクロコンピュータ(マイコン)が読み取る。集計したバイタルデータはマイコンのディスプレイに表示される。必要なら計測データをクラウドに保管できる。継続してデータをとっておけば、体調不良や異変の検知に役立つだろう。センサーの設置数、方法によってはハムスターの行動パターンの分析も可能だ。ハムスターの好きな場所、嫌いな場所、どんな条件だと回し車をよく回すか、など夏休み等の自由研究にどうだろうか。

レシピはハムスターを前提とした内容になっているが、多くはウサギやモルモットなど他の小動物にも応用可能だ。

「D+IO」は、パナソニックのFUTURE LIFE FACTORYというイノベーションや新しい商品デザインを研究している部門が運営するプロジェクトで、「小動物ヘルスケアデバイス」はBIRDMANというベンチャー企業が実装したものだ。D+IO自体は、製品開発ではなくものづくり全体を支援するもので、企業の営利活動とは距離を置いている。したがって、レシピで紹介されているマイコンやセンサーは、秋葉原や、モノタロウ、スイッチサイエンス(電子工作やSTEAM教材などを扱っている)といった通販サイトなどで普通に手に入るもの。制御プログラムもオープンソースとして無償で公開されている。

プログラムを書ける人、電子工作ができる人なら、センサーの数を増やしたり、カメラを使えるようにしたり機能を好きに拡張できる。動物の種類や用途に合わせたカスタマイズが自由ということだ。

ペットがハムスターなら、公開されているレシピと組み立てガイドのとおりで問題ない。スマホやPCにアプリをダウンロード・インストールができる程度の経験と知識があれば十分だろう。配線にはんだ付けは必須ではない。ハサミや両面テープなど家庭にある道具で十分だ。レシピどおりに部品を購入してもおそらく1万円で収まる(マイコン用電源ACアダプタ除く)。

リモートワークの時間を活用して試してみてはどうだろうか。自分で作れない人は、知り合いや家族などできそうな人、工作が好きそうな人に頼んで作ってもらおう。

《中尾真二》

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