よこはま動物園ズーラシア(神奈川県横浜市)は、3月18日、長崎県対馬に約100頭のみ生息する、ツシマヤマネコの赤ちゃんが人工授精で誕生したと発表した。人工授精によるツシマヤマネコの繁殖成功は、国内で初めての事例。
同園では、環境省が実施しているツシマヤマネコ保護増殖事業に基づき、平成18年からツシマヤマネコの飼育下繁殖事業に携わっており、令和元年度から、腹腔鏡を使った最新技術を活用した人工授精に取り組んでいる。
3月上旬に母・マミの妊娠を確認し、繁殖に至った。これにより、同園でのツシマヤマネコの飼育頭数は4頭(オス1頭、メス2頭、不明1頭)となった。
ツシマヤマネコは長崎県の対馬にだけ生息する野生のネコで、東南アジアから中国・朝鮮半島まで広く分布するベンガルヤマネコの亜種とされている。大きさは普通の飼い猫と同じくらいだが、耳の後ろの白い斑紋と、太くて長い尻尾が特徴。
対馬の分布は徐々に減っており、絶滅が危惧される希少な動物だ。国の天然記念物及び国内希少野生動植物種に指定されており、ワシントン条約でも「現在は必ずしも絶滅のおそれはないが、取引を規制しなければ絶滅のおそれのあるもの」(附属書II)として規制されている。