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犬の膝蓋骨内方脱臼に41万8800円、ペット保険の高額保険金支払い事例公開…ペットメディカルサポート

ペット保険の高額保険金支払い事例公開
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少額短期保険会社のペットメディカルサポートは、同社が提供するペット保険「PS保険」が、2021年11月に支払った高額保険金事例を公開した。

支払金額が一番高かったのは、小型犬の「アポクリン腺癌」と「尿道炎」で48万6800円。次いで、同じく小型犬の「網膜剥離」「左前十字靭帯部分断裂」の45万7700円、小型犬の「肝臓病」「胆嚢炎」「膵炎」で42万2900円、小型犬の「膝蓋骨内方脱臼」で41万8800円と続いている。

同社サービス「獣医師ダイヤル」を担当している「電話どうぶつ病院Anicli24」院長の三宅亜希獣医師は、高額診療である「犬の膝蓋骨内方脱臼」の診療内容について、次のように解説している。

まず、膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨が大腿骨の溝から外れる病気で、内側に外れるのが内方脱臼である。膝蓋骨脱臼が起こると、後ろ足を地面に着けずに持ち上げたままにしていたり、触ると痛がったりする。繰り返し脱臼したり、戻らなかったりする場合は手術になるケースもある。先天的に大腿骨の溝が浅いトイ種が好発犬種だが、どの犬種でも発症する可能性がある。外側に外れる外方脱臼は、大型犬や牛、馬などに多く見られる。

検査では、飼い主に対し、症状が始まった時期やきっかけ、日常生活での様子、既往歴の有無、薬の投与歴などの問診を実施。また、犬の体格、前足と後ろ足の位置、体重のかけ方、座り方、筋肉のつき方などを観察。次にレントゲン検査を行い、膝蓋骨の位置、大腿骨の溝の状態、骨のねじれの有無などを確認する。

さらに、膝蓋骨の脱臼のしやすさや戻り具合などを触診で確認し、画像診断の結果と合わせて、次の4つのグレードに分ける。
グレード1:膝蓋骨を指で押すと脱臼するが、押すのをやめるとすぐに正しい位置へ戻る。
グレード2:膝蓋骨を指で押したり膝を曲げたりすると脱臼し、押すのをやめても正しい位置へ戻らない。
グレード3:膝蓋骨がいつも脱臼している状態で、指で押すと正しい位置に戻るが手を離すとすぐにまた脱臼してしまう。
グレード4:膝蓋骨がいつも脱臼している状態で、正しい位置に戻せない。

治療方法は、グレード1とグレード2以上で分かれており、グレード1では、普段の生活で「体重管理」「運動制限」「床材の見直し・足裏のケア」の3点を実施しながら経過観察を行う。グレード2以上には、膝蓋骨が脱臼しないよう安定させる外科手術を実施。グレードや前十字靭帯の損傷の状態、骨の変形の有無、犬の状態などから総合的に術式を判断する。全身麻酔が必要なため、術前検査を実施し、全身麻酔を安全に行えるかを確認する。

予後は、通常2週間ほどは安静に過ごし、その後抜糸を実施。術後1ヶ月くらいから徐々に運動ができるようになる。また、術後は定期的な診察と経過観察を行い、患部の腫れや痛みがある場合は内服(飲み薬)で治療する。(事例の犬は、通院日数8日、入院日数9日、手術回数2回)

犬の膝蓋骨内方脱臼は、なりやすい犬種が存在するものの、どの犬種でも起こるおそれがある疾患であるため、膝に過度な負担がかからないよう愛犬の体調管理やこまめなケアを心がけることが大切である。また、グレード2以上の場合、診療費が高額ではあるが、適切なタイミングで適切な手術を受けることで、愛犬は痛みから早く解放されるため、外科手術がベストな治療だとしている。

なお、保険金の支払いは高額なものには限らないため、平均的な支払い事例として、ペットの膀胱炎、腎盂腎炎の診療も紹介されている。こちらは、小型犬の「膀胱炎」「腎盂腎炎」で4万円だった。

《鈴木まゆこ》

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