動物のリアルを伝えるWebメディア

WWFジャパン、日本へのエキゾッチクペット密輸の実態を分析した報告書を発表

WWF「CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引」
  • WWF「CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引」
  • WWF「CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引」

世界自然保護基金ジャパン(WWFジャパン)は、日本税関の輸入差止記録や国内外のメディア報道を基に、日本におけるエキゾッチクペット取引の動向を分析した報告書「CROSSING THE RED LINE:日本のエキゾチックペット取引」を発表した。

日本は長くエキゾチックペットの大量消費国とされ、スローロリス、フクロウ、ニシキヘビをはじめとする何百もの絶滅のおそれのある野生動物が国内で売買され、一般家庭で飼育されている。この市場の存在は、国際的なエキゾチックペットの違法取引の誘引となっており、海外からもその動向が注視されてきた。

今回の調査では、2007年から2018年の税関の「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(ワシントン条約)掲載種の輸入差止実績を主な情報源として、法執状況を含めた包括的な分析を実施し、その結果を問題解決に向けた提言とともに公表されている。

輸入差止実績を見てみると、2007年から2018年に78件、1161匹が差止されており、爬虫類が最多で71%、続いて哺乳類19%、鳥類6%であった。中には、感染症法で輸入が禁止されるサル185匹、コウモリ10匹も含まれている。また、輸出国として特定されたのは13の国・地域で、東南アジアが55%(43件)、東アジアが36%(28件)を占めていたという。

日本で密輸が発覚した際の有罪率は高く、2007年以降12件の密輸事件があったうち、10件が有罪判決となっている。しかし、実刑判決を受けたのは3名にとどまり、刑も比較的軽く、再犯が後を経たないという。

また、一旦国内市場に入り込むと合法に販売ができるため、密輸個体のロンダリングを許してしまうとして、同団体では法執行と制度の強化で抑止力の大幅な引き上げが必要だとしている。

《鈴木まゆこ》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top