エステーは1月25日、新ブランドとして「エステーペット」を立ち上げ、その第一弾として猫用のシステムトイレと関連商品を投入すると発表した。
成長続くペット用品市場に参入
近年、国内のペット関連市場は拡大しており、2016年の4245億円から2020年には5034億円と20%近い伸びを見せているという(エステー調べ)。排せつケアを中心とするトイレシートなどの用品も、800億円を超える規模に成長している。そこでエステーは、「消臭力」ブランドの消臭剤や芳香剤などの日用品開発で培った技術を活かし、「エステーペット 実感消臭トイレ」でペット用品市場に参入する。
同社の鈴木貴子社長は「ニューノーマルな生活の中で、空気を通して快適な暮らしをサポートすることと社会課題(環境配慮、衛生対策)への対応を提案していきたい。ペットの家族化が進み、また、新たにペットを飼い始める人も増えているが、私たちが猫の飼育者を対象に行った調査では95%の人が『ペットの臭いが気になることがある』と回答しており、ペットの臭い問題は未だ解決できてない大きなニーズだと捉えている。コロナ禍の影響でおうち時間をもっと楽しくしたいという声も高まる中、独自の新しい技術を生かして、ペットとの暮らしにも貢献できるよう取り組んでいく」と語った。
天然成分による消臭効果
この猫用トイレ製品は、すべてに天然成分が配合されている。これまでの研究によって、モミの木(トドマツ)に高い消臭効果があることが分かった。「エステーペット 実感消臭チップ」、同「実感消臭シート」およびトイレ本体には、トドマツの粉末が配合されており高い消臭効果を発揮するという。また開閉可能なルーフカバーを取り付けることで、臭いだけでなくチップの飛び散りも防止できる。
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クリアフォレスト事業部ペットケア事業担当の藤平諭志氏は「猫がうんちをした瞬間や、トイレの砂やシートを変える時に臭いが気になるとしながらも、諦めてしまっている人が多くいる。特に、飼い始めて3年未満の方をターゲットとし、困り事の解決に積極的に取り組んでいきたい」とする。
また、同事業部長の奥平壮臨氏は「トドマツの針葉粉体(パウダー状の粉体)は特にペットの排せつ物臭に高い効果がある。これをさらに細かく粉砕し、トイレ本体のプラスチック原料に練り込むことで、プラスチックの使用量を減らし、トイレ本体が消臭するという新しい価値を生んでいる」と話した。
持続可能性に配慮したビジネスモデル
エステーは「空気をかえよう」とのスローガンのもと、様々な研究に取り組んできたという。その1つが「森の空気のプロジェクト」で、日本各地の森をめぐり空気のサンプルを集めて分析を行った。その結果、北海道産のトドマツに高い消臭効果があることを突き止めた。
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現地の林業従事者とパートナーシップを結び、伐採だけでなく枝や葉の粉末化や、精油と樹木水(エッセンシャル・ウォーター)の抽出まで一連のプロセスを委託している。それまでほとんどが廃棄されていたトドマツの間伐材を使用するため、地元の雇用も含め持続可能性(サステナビリティ)の高いビジネスモデルとなっているという。エステーペットは、同社が「循環型事業」と呼ぶこうした取り組みにおいても鍵となるビジネスとして期待されているようだ。
世界の猫用トイレで10%シェア獲得を目指す
本体のほかスノコの上に敷くチップとトレーに置く吸収シートすべてがセットになった「エステーペット 実感消臭本体セット」と、「実感消臭チップ」「実感消臭シート」は“猫の日”の2月22日に発売される。価格はオープンだが、店頭予想価格は547円前後~8778円前後(税込)。同社が13兆円と試算するペット関連の世界市場は、年率およそ5%で成長を続けているという。その中で、猫用トイレにおいては5年後に10%のマーケットシェアを獲得することを事業目標に掲げている。
ペット用品と言えば、同じく日用品メーカーとしてのバックグラウンドを持つユニ・チャームやライオン、アイリスオーヤマなどの大手企業が既に参入し幅広い製品ラインナップを展開している。その中で、エステーペットがどう戦っていくか今後の商品展開が待たれる。様々なペット用品の投入計画があるとのことで、「ペットとの暮らしを明るく元気なものにしたい」と語る同社の提案に注目したい。