ART NEXTは、ムック『街なかで見られる身近な野鳥図鑑』を刊行した。
同書は、家の庭や軒先、通学・通勤途中の道すがらや公園などでも見られる身近な野鳥182種類を収録した図鑑。双眼鏡を手に山や森へ出かけて行かなくても、日常生活の中でも十分にバードウォッチングが楽しめることを伝えている。民家の軒先でよく見かけるツバメは、ツバメ、コシアカツバメ、イワツバメ、アマツバメの4種を紹介。見た目と鳴き声を混同しやすいウグイスとメジロの違いもわかりやすく解説している。
また、「鳴き声はよく聞くけれど、鳥の名前がわからない」「公園で頻繁に見かけるあの鳥の鳴き声はどんなだっけ?」という初心者バードウォッチャーの“あるある”に応えるべく、同書に収録した182種すべての鳥の鳴き声が聞けるQRコードを掲載。橙色のかわいらしいコマドリは、馬のいななきのような声で鳴いたり、「キリリ、コロロ」と可憐になくカワラヒワは、集団でさえずりを競い、競り勝った雄から雌とつがいになれるという習性を持つなど、鳴き声にまつわるエピソードも紹介している。
公園などでも観察できるオナガは、つがいを作れなかった独身の若い雄が、同じ群れのつがいの子育てを手伝う「ヘルパー」になることが多く、さらに自分の繁殖を終えた既婚の雄が手伝うこともある。また、里山などに飛来するブッポウソウは、煙を浴びる「煙浴」によって羽についた寄生虫を駆除するため、かつては銭湯の煙突の縁に留まって煙を浴びる姿が目撃されていた。このようなどこか人間味あふれる愉快な鳥の習性を楽しいイラストで紹介している。
鳥の中には、雄と雌、夏と冬、成鳥と幼鳥で同じ鳥とは思えないほど見た目が異なるものがいる。基本的に鳥の世界では雄がつがいになる決定権を持っているため、雄の夏羽は雌にアピールするべく、美しい色や華やかな模様を身にまとう。逆に雌は、産卵や子育ての際に捕食されないよう地味な見た目であることが多い。同書では、このような雄/雌、夏羽/冬羽をできるだけたくさんの写真を用いて紹介しており、それらのビジュアルの違いを眺めるだけでも楽しめる。