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犬の「鼻紋」をAIが解析して個体識別、新型アプリがリリース

犬の鼻の紋様「鼻紋」をAIで識別するNoseIDアプリβ版
  • 犬の鼻の紋様「鼻紋」をAIで識別するNoseIDアプリβ版
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S‘more(スモア)は、一頭ずつ異なる犬の鼻の紋様=鼻紋をAIで識別するNoseIDアプリβ版をリリースした。同社によれば、鼻紋認証技術を活用した日本で初めてのサービスで、鼻をスマホでスキャンするだけで犬を特定、飼い主に連絡ができるようになる。

2011年東日本大震災ではペットがいなくなったという届け出が相次ぎ、飼い主の元に戻ることができたのはわずか12.2%。多くがそのまま行方不明になっている。また、毎年全国で約2万5000頭が飼い主不明の状態で愛護センター等で引き取られている。マイクロチップの装着を義務付ける改正動物愛護管理法が施工されたが、情報を読み取る機器があるのは保健所などに限られるため、もっと手軽に特定でき、戻ってくるまでの間、発見者が良心で薬を与えてくれるような温かいコミュニティをつくりたい、という思いから同社はアプリ開発をスタート。個体識別で情報を手軽に照会できる方法にたどり着いたという。

同サービスは、飼い主がアプリで犬の鼻の動画を撮影し登録しておくと、発見者が犬の鼻を自身のスマホアプリで撮影することで登録済みの犬を照会できる仕組み。鼻紋が一致した場合、発見者と飼い主が個人情報を伏せた状態でメッセージのやり取りができ、迷い犬は即時飼い主の元に戻ることが可能になる。また万が一愛犬が迷子になった際には、周辺エリアのユーザーに通知することができ、飼い主やサロン・病院等が迷子探しを手伝ってくれる可能性もあるという。

アプリ登録時には、犬の鼻だけでなく生年月日やワクチン接種状況、既往歴、アレルギー、薬、性格等も入力できる。災害時愛犬と離れて避難する場合や、緊急時第三者に預けるケースでは、預かった人が鼻をスキャンするだけで犬の状況が瞬時に確認できるため早い施術に繋がり安心できる。

マイクロチップは迷子犬が最終的に保護された施設で専用リーダーで読み込むため、最後の砦として安心な「公助」の役割に。NoseIDはその手前で、迷子犬を発見した人や飼い主同士がスマホでより手軽に助け合える互助の役割を担う。情報を繋げたりコミュニティで助け合い解決していくため、マイクロチップや迷子札とは役割が異なる。

それらを複合的に利用することで、迷子になった1頭でも多くの犬が飼い主の元へ戻れることを切に願っているという。

鼻紋は人の指紋のように成長しても形が変わらず、犬と同様に鼻紋で個体識別ができる牛ではブランド牛の証明にも使われている。この個体識別能力に着目し、AIの深層学習(ディープラーニング)を活用し鼻紋を解析することで犬を特定しており、登録が増えれば増えるほど認証精度が向上する仕組みだ。現在、スモアのビジョンに共感する飼い主や店舗の協力で5000頭分の鼻紋データが集まっている。認証率は85%から92%まで向上。今後さらに100%に近づけていくため、当面は1万頭分の鼻紋登録を目標としている。

また、同サービスはITなどの先進技術を活用した社会課題解決を支援する福岡市の「実証実験フルサポート事業」に採択され、4月より社会実証がスタートした。全国に先駆けて、飼い主同士のコミュニティで迷子犬を減らしていくことができるかをエリア全体で実証するという目的だ。現在80以上のペットサロンをはじめとする店舗、団体や愛護センター、福岡市内獣医師会が賛同しており、今後は全国への展開が期待される。

《山本真美》

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