7月15日、日本文学振興会より第163回直木三十五賞が発表され、馳星周氏の『少年と犬』が受賞作となった。同氏は7回目のノミネートでの受賞となる。
同作品は、2011年秋の仙台。震災で職を失った主人公の和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。そんなある日和正は、コンビニでガリガリに痩せた野良犬の多聞を拾う。
多聞を同行させると仕事が上手くいったため、多聞は和正の「守り神」になった。しかし、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか…。
刊行元の文藝春秋は、同書について、犬を愛する全ての人に捧げる感涙作だと述べている。
なお、同日発表された第163回芥川賞は、高山羽根子氏の『首里の馬』と、遠野遥氏の『破局』が受賞した。