琵琶湖博物館(滋賀県草津市)は、10月10日にリニューアルオープンする。今回の改修は、琵琶湖周辺の自然史・歴史をテーマにした展示が主な対象だが、国内最大規模を誇る淡水水族館もおすすめだ。貴重な琵琶湖固有種のほか、国内希少淡水魚の保全にも力を入れている。
展示を改修し体験型博物館に
琵琶湖は、バイカル湖やタンガニーカ湖など世界に数えるほどしか存在しない、固有種が生息する「古代湖」の一つである。博物館は、琵琶湖の東側南端にある烏丸半島に位置する。リニューアルされたのは、400万年前から現在までの地質学的歴史のA展示、琵琶湖と人々の歴史や社会に関するB展示。アプリやAR技術を利用した展示と展示物と一緒に写真撮影ができるように、体験型博物館として生まれ変わっている。
A展示には、博物館の目玉の一つであるツダンスキーゾウの半身反骨モデルがある。このモデルは向かって右側からみると、体表の復元モデルとなっている。左半分は全身骨格が見えるようになっている。このような展示モデルは例が少ないという。
数百万年前、琵琶湖周辺にはゾウやワニが棲んでいたことが化石などからわかっており、A展示では、当時のワニの化石と、そこから復元したワニを見ることができる。
固有種、在来種の保護や保全も
淡水生物の水族展示がメインとなるC展示は、2016年に改修されている。琵琶湖には16種の固有種が生息しているとされている。代表的なものは、ホンモロコ、ニゴロブナ、ビワコオオナマズだ。琵琶湖博物館ではこれらを間近で見ることができる。ナマズは水槽の中でほとんど動かないが、ホンモロコやニゴロブナは水槽でよく泳いでいた。
琵琶湖固有種としても貴重だが、他の在来淡水魚と同様に生息数が減ってきている。古くは琵琶湖周辺の一般的な食材だったが、近年はホンモロコなどは養殖されている。ニゴロブナは、独特なにおいのする「鮒ずし」の原料でもある。
在来種、固有種が減っている理由の一つが、ブラックバスなど外来種による被害だ。琵琶湖博物館では、駆除対象となっているオオクチバス、ブルーギルの他、環境保全に関する展示、さらに淡水魚の固有種、在来種の保護、保全のため館内に飼育施設を持っている。ここでは、日本全国の淡水魚の保全、飼育が行われているそうだ。
琵琶湖博物館では、古代湖は固有種が生息する湖と定義している。そのような湖は、バイカル湖、タンガニーカ湖、マラウイ湖など世界でも限られている。このうちバイカル湖のチョウザメやバイカルアザラシも見ることができる。
水族展示を含むC展示に始まり、レストランや交流空間の整備、今回のA展示・B展示の体験型への改修まで6年を費やし生まれ変わった琵琶湖博物館は、烏丸半島周辺の自然公園も含めるとピクニックを兼ねて家族で行くのも良いだろう。足を延ばせば比叡山にも行けるし、最寄りの草津駅から京都駅も快速電車なら20分とアクセスが良いのもポイントだ。なお、コロナ対策のため、当面入場は事前予約が必要となる。