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デンマークで全てのミンクを殺処分…変異型の新型コロナウイルスを検出

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2020年11月5日付けでデンマークの環境・食糧省が公式に声明を発表。変異型の新型コロナウイルスが発見されたため、同国内で主に毛皮用に養殖されている全てのミンクを速やかに殺処分することを決定した。

速やかな処分には助成金を支給

10日以内に完了した場合、業者には1匹あたり20デンマーククローネ(約330円)の助成金が政府から支給される。飼育しているミンクが7500匹以下の小規模業者の場合、助成金を受け取るためには5日以内の処分完了が求められている。

6月にミンクから見つかった変異型ウイルス

デンマークの北側を占めるユトランド半島では、6月中旬に農場で飼育されていたミンクから新型コロナウイルスが検出された。その後の研究でウイルスに変異が認められたため、当該農場から半径7~8キロメートル以内で飼育されていたミンクをすべて殺処分することが10月1日に決定された。その後も感染は拡大を続け、11月4日現在では207の農場でウイルスが確認されている。

開発中のワクチンに悪影響の可能性

デンマーク政府は新型コロナウイルスに感染した人間12名と、ユトランド半島北部の5つの農場で飼育されていたミンクから検体を採取し、専門機関にテストを依頼した。その結果、ウイルスには変異が認められ、現在開発が行われているワクチンの有効性を阻害する可能性が指摘された。ただし、デンマークの保健省(Ministry for Health)によると、この変異型ウイルスに感染した人間の症状が、より重いものになるエビデンスはないとしている。

情報不足に批判の声も

現在のところ、デンマーク政府からはこれ以上の情報が正式に出されておらず詳細は不明である。最初の変異が確認されたのが6月であるにもかかわらず、情報の公開が遅れたことを批判する専門家の意見がSNSなどで見られる。今後の詳細な報告が待たれるところだ。

REANIMALでも報じたように、ミンクの新型コロナウイルスへの感染はアメリカやオランダなどでも報告されている。しかしながら、現在までにミンクから人への感染や毒性の強いウイルスに変異したなどの情報はない。日本では手洗いの徹底、マスクの着用、密を避ける行動など、引き続き感染予防を意識した生活を心がけたい。

《石川徹》

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