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猫も認知症になる? 症状と対策は

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まん丸な手に、ふんわりとした毛、触るとまるでお餅のように柔らかい体に日々癒される愛猫家の方も多いのではないでしょうか? かく言う私も職場に猫がいる環境で日々メロメロです。ですが、実はこの可愛らしい猫ちゃん達にも「認知症」のリスクがあることをご存知でしょうか? 人間やワンちゃん程広く認知されていませんが10歳を超えた猫ちゃん達は少しずつ認知力が落ちてくると言われています。そこで今回は、具体的な症状や対策についてご紹介します。

猫の認知症とはどんな病気?

猫の認知症(認知機能不全症)も人間同様、加齢に伴って脳の認知機能が低下してしまう病気です。猫種によって大きな差異はなく、15歳を辺りから発症する猫ちゃんが増えてきます。一昔前は10歳前後が寿命とされていた猫ちゃん達ですが近年は住環境や予防医療のレベルが上がり、フードの品質向上も著しいことから全体的に長寿化の傾向があり、それに伴って認知症の症例数も増えてきたようです。ただし犬ほど数は多くなく、症状が穏やかな子が多いのも特徴です。

具体的な症状は?

猫の認知症では名前を呼んでも反応しない、粗相する、攻撃的になる、寝てばかりいる、食事を延々と欲しがる、徘徊する、夜鳴きなどの症状が挙げられます。勿論全ての症状が一気に出るわけではなくこの中のいくつかが見られ、少しずつ進行していくような形で認知症が露呈していくでしょう。

ただし注意したいのは、これらの症状が認知症ではなく他の病気の症状としてもあり得るという点。例えば高齢猫に多い甲状腺機能亢進症は、攻撃的になり、大声で鳴きながら徘徊する、食欲が異常に強くなる、など認知症とほぼ同じ症状が認められます。この場合、甲状腺機能亢進症の治療を行えば症状は消えてしまうことがほとんどです。血液検査を行えば即座に確認ができますので、異常を感じたらまずは動物病院で相談してみましょう。

どうやって対策すればいい?

血液検査にも異常がなく、認知症の診断が下った場合どのような対策を取ってあげればいいのでしょうか? 残念ながら認知症は治すことができない病気です。粗相した時やいつもと違う行動をしたときに叱りつけても、委縮させるばかりで何の効果もありません。ここは愛猫に合わせ飼い主さんが生活環境を変化させましょう。粗相してしまう時はトイレの数を増やす、トイレに入りやすいよう背が低いものに変える、見ていられない留守番時や深夜帯はオムツを活用してもいいですね。

徘徊も無理に止める必要はありません。好きなだけうろうろさせてあげてください。危険な場所や狭い場所には入り込まないよう注意しましょう。日中体を動かすことで深夜帯の夜鳴き防止にもつながります。どうしても深夜帯に夜鳴きをしてしまう場合は、近所迷惑や家族の睡眠不足が深刻な問題になってくるかと思います。日中の運動や太陽をしっかり浴びさせるなどの対策をとっても収まらない場合には、動物病院で安定剤や睡眠薬を処方してもらうことができます。もちろん多少のリスクが伴うものもありますので、獣医師からのインフォームドコンセントをしっかり受け納得した治療を行いましょう。

予防策はある?

認知症の予防は難しいものですが、ある程度刺激がある生活が脳を活性化すると言われています。元気なうちから沢山遊び、飼い主さんとコミュニケーションを取るのもいいですし、お外に出せる子ならばハーネスを付けワンちゃんのようにお散歩してもいいかもしれません。また抗酸化作用があるサプリメントが有効という説もあります。グルメな猫には気に入ってくれるものを見つけるのが大変かもしれませんが、もし食べてくれるようであればサプリメントで予防対策を取るのもよいでしょう。

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筆者は動物病院で勤務していますが、ワンちゃんに比べ猫ちゃんの認知症はあまり見かけたことがありません。たまに夜鳴きや徘徊が見られている子がいても飼い主さんが気にするほどではなくそのまま見守る、というケースもあります。ただ、こればかりは実際に年齢を重ねなければわからないことです。今までと違う、と感じたら様子を見ずに、まずは動物病院にかかりましょう。

《吉田つぐみ》

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