栃木県宇都宮市の宇都宮動物園には「ねこ園長」がいる。さらに「ねこ副園長」までいる。地元にはファンも多く、ねこ園長目当てで来園するお客さんも少なくない。
2匹の猫が仲良く暮らす
今回REANIMALの取材依頼に快く応じてくれたのは、宇都宮動物園の本物の園長、荒井賢治氏。ねこ園長の名前は「さんた」(オス)。7年ほど前に動物園の前に箱で捨てられていた猫だそうだ。そのときすでに成猫となっており、正確な年齢はわからないが、当時の獣医さんの見立てでは3歳から5歳くらいではないかとのこと。
飼育員が最初に発見したのは箱だけで、猫は箱から脱走していたらしい。しかし、近くに普段見かけない猫が現れ、エサを与えたりしているうちに住みついたそうだ。
ねこ副園長は「ニーニー」(メス)という。ニーニーも元は野良猫らしく、さんたが住みついてから1年後くらいに現れるようになった。名前は泣き声が由来だそうだが、さんたとの相性がよかったらしくそのまま一緒に住むようになった。
釣った魚を持って行かれてもOK!
さんたは、人に触られるのをあまり気にしない猫で、いつのまにか来園者にもかわいがられる存在になった。
宇都宮動物園には、プールもあるのだが、冬場は釣り堀として利用されている。さんたは魚(マス)が釣りあげられるのを狙っていて、お客さんの魚を持っていってしまうこともあるそうだ。お客さんも知っているので気にすることはない。むしろ、「猫に釣った魚を持っていかれる」というマンガのような体験を喜んでくれるという。
他の動物たちにも認められた存在
ここは、動物園自体が地域密着型で、地元の人に愛されている。小さい園だが、その分動物との距離も近くふれあい体験も多い。取材日も地元の幼稚園の団体が来園していたが、ちょうどねこ園長と一緒だった荒井園長自ら園児たちのお見送りをしていた。園児たちも動物園に猫がいると大喜びしていた。
動物園で飼われている他の動物たちは、さんたのことをどう認識しているのだろうか。荒井園長によれば「さんたは動物園の檻や飼育エリアにはあまり近づかないが、他の動物たちはさんたのことを知っている。動物園の日常として受け入れているようだ」という。