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ドイツ・ヘラブルン動物園のスナドリネコに会えた!…泳ぎが得意で魚好き

撮影中ほぼずっと寝ていたメスのスナドリネコ
  • 撮影中ほぼずっと寝ていたメスのスナドリネコ
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ
  • こちらはオス。最初は寝ていたが、すぐに降りてきた
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ
  • ドイツ ミュンヘンにあるヘラブルン動物園のスナドリネコ

取材でドイツ・ミュンヘンに出張することになった。ホテル手配をしているとき、市内に「ヘラブルン動物園」を発見。ホームページをみると「スナドリネコ」(Fishing Cat)と「ユーラシア狼」(Eurasian Wolf)がいる。仕事の合間に会いに行った。

だが、あいにくユーラシア狼の展示エリアが改装中で撮影などができなかった。スナドリネコは見られるという。園内マップは大雑把で動物のシルエットは描いてあるが、種類まではわからない。また、全種のディレクトリーがあるわけではないので、飼育員に場所を確認する。アジア園の建物の中にいるという。

水中に潜って魚を捕まえることも

訪問したのは9月頭で、昼間はTシャツ1枚でも過ごせるほどだが、朝は10度以下になる。アジア園は熱帯・亜熱帯の動物がメインなので、大きなサーカス小屋のような建築物(テントではない)の中だった。

スナドリネコはすぐに見つかった。オス、メスがそれぞれ個別の飼育スペースに分けられていた。メスは奥の方の木陰で寝ていてあまり動かない。となりのオスは飼育スペース内を動き回っていた。実は、飼育室にはバックヤードへの入り口以外に、外に出られる出入り口がある。外はジャングルのように草木が植えられているが、泳ぎが得意なスナドリネコのために池も作られている。オスは室内とここを行き来していた。

スナドリネコは漢字で書くと「漁り猫」だ。つまり漁をする猫。魚を捕まえるのでこの名がある。英語名もFishing Catだ(ヘラブルン動物園の案内では「Fish Cat」となっていた)。水につかりながら前足で上手に捕まえる。水中に潜って魚を捕まえることもある。泳ぎが得意で、指の間は水かきのようになっている。日本では、漫画『ぼのぼの』に登場するキャラクターのモデルになっているが、ドイツの動物園でも人気者だった。

湿地や生息環境の減少は深刻な問題

体長は60cm前後。体重は14kg前後とイエネコより大きい。額に6~8本くらいの縦縞があり、体にはヒョウ柄のような模様がある。しっぽは太めで短い。好んで食べるのは魚だが、カエルや蛇、鳥や他の動物なども捕食する。伝聞では自分より大きなヒョウを襲ったという話もあり、性格は獰猛だ(『ぼのぼの』でもクマと決闘するシーンがある)。

生息域は東南アジアからスリランカの湿地帯、マングローブの沼地など。インド北部にも生息しているほか、ベトナムやインドネシアでも目撃されている。熱帯・亜熱帯に住んでいるので繁殖は1年中可能だが、やはり春頃の出産が多い。1~4頭を出産し、およそ10か月で親元を離れる。

開発によるマングローブや湿地帯の減少、魚の乱獲によって個体数は減少傾向にあり、レッドリストではEN(絶滅危惧種)に分類されている。オスは行動範囲が20平方キロメートル前後あるといい、湿地や生息環境の減少は深刻な問題となっている。

《中尾真二》

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