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【青山尚輝のわんダフルカーライフ】新型のVW ゴルフ ヴァリアントを旧型と比較

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VW ゴルフ ヴァリアント 新型
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  • 7代目(旧型)VW ゴルフ ヴァリアント
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新旧ゴルフ ヴァリアントのドッグフレンドリー度は?

わが家のジャックラッセルのララの愛車は、ステーションワゴンの7代目VW『ゴルフ ヴァリアント』(ハイライン)。手頃なサイズとドイツ車ならではのしっかりとした走り、乗り心地、燃費の良さ、そしてあちこちにちりばめられたドッグフレンドリーな仕立てやドッグアクセサリーの充実度もあって、新車で購入してから7年を経た今でも、飼い主、愛犬ともに大いに気に入っているところである。

そんなわが家が今、大注目しているのが、VW ゴルフヴァリアントの新型である。8世代目となったゴルフはパワーユニットが1Lおよび1.5Lターボエンジンにモーターを付加した電動車と言える48Vマイルドハイブリッドとなり、デジタルコクピットはさらに進化。オールイン・セフーティと呼ばれる先進運転支援機能やWe Connect=モバイルオンラインサービスの充実度も、一段と快適・安心なわんダフルカーライフに欠かせない機能だと思える。

そこで、わが家の3代目自称自動車評論犬!? でもあるジャックラッセルのララと、新旧ゴルフヴァリアントのドッグフレンドリー度をチェックすることにした。ララの愛車がハイラインなので、比較すべきは同じ1.5Lターボエンジン、17インチタイヤを装着する新型の「e TSI Style」グレードである。

後席の居住空間が拡大

新型ゴルフ、ゴルフヴァリアントの大きな特徴は、ゴルフとして初めて、ハッチバックモデルに対してヴァリアントのホイールベースを延長したこと。つまり、新型のハッチバックモデルが全長4295×全幅1790×全高1475mm、ホイールベース2620mmであるのに対して、ヴァリアントのほうは全長4640×全幅1790×全高1485mm、ホイールベース2670mm(先代比+35mm)と、全長、ホイールベースともに延長されているのである。

その恩恵は、ラゲッジルームの拡大…ではない。そのほぼすべてが、後席の居住空間に充てられているのだ。具体的には、身長172cmの筆者のドライビングポジションを基準として、その背後の後席に着座すれば、先代のニースペースは160mm。新型は一気に220mmまで広がっている。家族3人、犬2頭でドライブに出かける際、わが家の先代型ゴルフヴァリアントだと、家族から後席居住空間、特にニースペースがギリギリ(前席のシートスライド位置による)というクレームが出ることもあるのだが、新型ならそんなクレームとは無縁。何しろVWの上級ヴァリアントである『パサート ヴァリアント』の後席ニースペースは、先代で205mm、現行型で240mmなのだからその中間。1クラス上の後席居住空間を手に入れたことになる。

後席のエアコン吹き出し口が進化

しかしそれが、直接、ドッグフレンドリーポイントになるわけではない。新旧型のシートサイズは、背もたれの高さ以外はほぼ同じだからである。むしろ、わが家の自称自動車評論犬!?のジャックラッセルのララが目をつけたのが、犬の特等席と言える後席に備わるエアコン吹き出し口。先代は吹き出し口のみだったものが、新型ではパサート並み、高級車並みに独立温度調節可能な、運転席、助手席、そして後席の3ゾーンフルオートエアコンに格上げされているのだ。

これがどうドッグフレンドリーなのかと言えば、1年中毛皮を着ている犬は、基本的に暑がり。しかし、夏、飼い主が寒がりだったとすれば、エアコンの設定温度は高め。それではただでさえダッシュボードに数カ所あるメインのエアコン吹き出し口から遠いため、後席の室内温度は上昇気味(後席エアコン吹き出し口があっても)。前席の飼い主が快適でも、暑がりの犬はたまらない。

しかし、新型ゴルフヴァリアントなら、前席のエアコン設定温度は高めに(運転席、助手席でそれぞれ設定可)、後席は低めに、という空調管理ができるようになる。これはもう、犬にとっては嬉しすぎるドッグフレンドリーポイントではないだろうか。

アームレストとパネルを倒せば…

このクラスのステーションワゴンの中でゴルフヴァリアントの優れたドッグフレンドリーポイントといえるのが、乗員数の関係、あるいは大型犬の乗車で、犬をどうしてもラゲッジルームに乗せなければならない場合に活躍する、新旧型共通の、ラゲッジルームと後席部分にスルー空間ができるアレンジだ。

後席中央部分のアームレストが倒せるクルマは少なくないが、ほとんどがただ倒れるだけ。しかしゴルフヴァリアントのそれは、アームレストとその奥にあるパネルの両方をダブルで倒すことで、パサートヴァリアントのように4:2:4分割“風”になり、ラゲッジルームから室内にかけてスルー空間ができる。スキー板のような長尺物の積載が可能になるはもちろん(無論、そのための仕様である)、犬がラゲッジルームに乗った際、エアコンの風が届きやすいのに加え、ラゲッジルームの乗った犬と、室内の飼い主とのアイコンタクトが可能になり、お互いより安心してドライブを楽しめるのである。

ラゲッジルームの話が出てきたので、新旧型のラゲッジルームの容量、使い勝手について比較してみると、後席使用時の容量は先代の605Lに対して611L、後席格納時には1620Lから1642Lに増えてはいるものの、後席使用時の奥行きは新旧型ともに約1050mmと変わらないのである。これはもちろん、すでに説明したように、延長された全長、ホイールベースの余裕のほとんどを後席ニースペースの拡大に使われているからだ。

犬も乗りやすく、よりフラットになったラゲッジ

とはいえ、新型のラゲッジルームのドッグフレンドリー度は確実に進化していた。その理由はまず、ラゲッジルームのフロア幅の拡大だ。数値は先代より15mm増しの1005mm。たったそれだけ? と思うかも知れないが、ドッグカートを、ほかの荷物と一緒に効率よく積むために真横に積む際、幅1000mmが目安になるからだ。わが家のララ用ドッグカートは折り畳み時の全長が995mmで、先代ゴルフの990mmではギリギリ、というか、タイヤ部分の多少の伸縮を利用して無理やり押し込む感じだったのだが、新型では余裕で積み込めるようになったのである。

ラゲッジルームのドッグカート積載比較をしていると、興味津々のララがジャックラッセルならではの運動神経で新型ゴルフヴァリアントのラゲッジルームにすいっとジャンプして飛び乗ってきた。すると、「先代より乗りやすいわん」という顔をしている。そこでラゲッジルームのフロア地上高を計ってみると、先代のハイラインが630mmだったのに対して、新型のStyleは610mm(いずれも筆者の実測)と、20mmも低くなっているのである。重い荷物の出し入れはもちろん、犬の乗車性もよくなっているというわけである。

また、2名もしくは3名乗車で、大型犬、多頭の乗車、あるいは大型クレートを固定する場合、後席の片側、もしくは両側を倒してラゲッジルームを拡大して使うことになるのだが、その際、格納した後席背もたれ部分のフラット度は新型がリード。よりフラットに倒せるようになっていた。これも、後席格納前提の愛犬の乗せ方なら、進化したドッグフレンドリーポイントと言えるのではないだろうか。先代はけっこうな角度が付いていたのである。

パワーテールゲートで利便性も向上

最後に紹介するドッグフレンドリーポイントもラゲッジルーム周りなのだが、新型はゴルフヴァリアントとして初のパワーテールゲートを採用。電動で開閉するだけでなく、リモコンキーを持った状態でリヤバンパー下に足を出し入れすることで、ハンズフリーでテールゲートを開閉できるようになる。例えば、多頭を両手で引いているときや、傘を片手に持ち、愛犬を片手で引いたような状態でも、スムーズにテールゲートを開けて、愛犬をラゲッジルームに乗車させることができるのである。上級SUVやステーションワゴンでは当たり前の装備とは言え、ゴルフクラスに付いたことは歓迎すべきだろう。

ところで、大型犬、多頭の飼い主が選ぶべき新型ゴルフヴァリアントは、3気筒1Lターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドと16インチタイヤを組み合わせたActive、またはここで紹介した4気筒1.5Lターボエンジン+48Vマイルドハイブリッドに17インチタイヤを組み合わせたStyleになる。よりスポーティなR-Lineもあるのだが、前席がハイバックシート(背もたれとヘッドレストが一体のシート)になるため、愛犬家にぜひお薦めしたいVW純正のドッグアクセサリー、後席用のフラットベッドが適合しないからである(前後席のヘッドレストのステー部分にフラットベッドのロープを引っかけて固定するため)。もちろん、フラットベッドを使わない乗せ方であれば、R-Lineでもまったく問題はない。

さて、VWゴルフヴァリアントの先代モデルが今でも大いに気に入っているジャックラッセルのララと、新型ゴルフヴァリアントを含めたドッグフレンドリーな次期愛車候補について、これからじっくりと相談することにしようか…。

もちろん、視野を国産車にも広げて、クロスオーバーSUVのホンダ『ヴェゼル e:HEV』の4WD、スポーツワゴンのスバル『レヴォーグ』といったドッグフレンドリーカーも、ララの愛車候補としてリストアップしているところである。

青山尚暉|モータージャーナリスト/ドックライフプロデューサー
自動車専門誌の編集者を経て、フリーのモータージャーナリストに。自動車専門誌をはじめ、一般誌、ウェブサイト等に寄稿。自作測定器による1車30項目以上におよぶパッケージングデータは膨大。ペット(犬)、海外旅行関連の書籍、ウェブサイト、ペットとドライブ関連のテレビ番組、ラジオ番組の出演、イベントも手がけ、愛犬との安心快適な自動車生活を提案するドッグライフプロデューサーの活動、自動車用ペットアクセサリーの企画・開発も行っている。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

《青山尚暉@レスポンス》

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