日本介助犬協会は、地震に備え、介助犬や車椅子ユーザーの安全を守る為の地震防災訓練「シェイクアウト訓練」を新たに取り入れ、10月末に初めて実施した。
シェイクアウト訓練は、2008年にアメリカで始まった地震防災訓練で、地震発生直後に命を守るための初期動作を身に付けるのに最適な防災訓練である。訓練は、地震から身を守るための3つの安全行動、1.姿勢を低くする、2.頭を守る、3.揺れが収まるまでじっとする、を自身がいる場所(職場、学校、外出先等)で約1分間行うというもの。この3つの行動を普段から身に付けておくだけで、いざ地震が起きた時にすぐに行動できるようになるという。
同協会では、災害が起きた時に犬を守るためにはどうするか、車椅子ユーザーを守るためにはどうするか、といった対策について職員間で今からでもできることを改めて考え直し、これまで年2回、災害対策として消防訓練を行ってきた。今回は、それに加えて地震を想定したシェイクアウト訓練を新たに行った。
介助犬は、手や足に障害のある人の日常生活をサポートする犬のことで、愛知県長久手市の介助犬総合訓練センターでは、約20頭の介助犬の訓練犬が生活をしている。また、犬だけでなく、介助犬との生活に向けて車椅子ユーザーも寝泊まりをすることもあるため、いざという時のために訓練が必要とされる。
当日は館内に地震発生のアナウンスが流れると、職員たちは事務所やホールではデスク等の下にもぐり、犬舎ではその場にうずくまり頭を守った。また、犬を連れて歩いている時に地震が発生することも想定し、犬と一緒にデスク下にもぐる職員もいたという。
訓練を終え、犬たちが生活をする犬舎は、物が落ちてくることや倒れてくるものがない安全な場所であることが確認できたとのこと。一方で、車椅子ユーザーはデスク下にもぐることが難しいため、安全な場所に移動して頭を守ることになるが、「車椅子の場合、実際に安全な場所はどこか?」と改めて考え直す機会となったそうだ。
同協会は、地震はいつどこで起こるか分からないため、いざという時に慌てずに安全な行動をとることが必要であるとも感じたという。車椅子ユーザーや犬たちの身の安全も守れるように、日頃から防災を意識して備えていきたいとしている。