動物のリアルを伝えるWebメディア

災害が起こった時、ペットはどうすればいいの?vol.2 …日常の訓練と周りへの配慮

イメージ
  • イメージ
  • ハードタイプのクレートは災害時の避難場所としても使用できる
  • クレートで落ち着ける訓練
  • イメージ
  • イメージ
  • イメージ
  • イメージ
  • 横浜市のガイドライン(表紙)

前回は、災害対策で重要な事前準備について紹介した。今回は、その中でも日常的な訓練と地域での交流、および避難所での生活について大切と思われるポイントをまとめる。

備えあれば憂いなし:準備の大切さ

■平常時の事前準備5:健康管理と訓練

災害時は人にもペットにも大きなストレスがかかる。特に避難所では、慣れない場所で大勢の人や見知らぬ動物に囲まれる生活で体調を崩す動物も多い。したがって、必要な予防接種やノミ・ダニの駆除などを行って普段から健康状態に気をつけるとともに、定期的なシャンプーやブラッシングなどで衛生面にも注意した生活を心がけることが大切である。

さらに、避難中や避難所での生活において飼い主とペットの両方ができるだけ少ないストレスで過ごすことができるよう、以下のような基本的訓練を行っておくことも重要である。

・「お座り」、「伏せ」、「待て」、「おいで」などの基本的なコマンドへの服従
・クレート・レーニング:落ち着ける場所として、休憩や睡眠がとれるように慣れさせておく。クレートで落ち着けるようになると、 管理も容易になるとともに、災害発生時に避難する場所としても役立つ
・環境変化に対するストレス耐性をつける:可能な範囲で散歩コースを変更したり、旅行に連れていったりしておく
・決められた場所での排泄:トイレシートを敷くと排せつする習慣をつけておくと、災害に限らず平常時の外出でも飼い主の負担軽減につながる
・社交性の向上:個体によって様々ではあるが、できるだけ人や動物に慣れさせておく

クレートで落ち着ける訓練

■平常時の事前準備6:地域情報の収集

緊急時にはお互いが助け合えるよう、地域の飼い主と良好な関係を築き防災について話し合っておく。同時に、指定避難場所までの所要時間、危険な場所、う回路や、同行避難に関する注意事項などに関する情報を自身で確認するとともに、共有しておくことをおすすめする。

例えば東日本大震災の際、避難所におけるペットの扱いは自治体により様々であった。室内で飼い主とともに過ごすことが可能な施設もあったが、ペット用の係留所を設置した自治体もあった。また仙台市などでは、屋外のテントが用意されたり、自家用車の車中で飼い主と一緒に生活したりしたケースもあったそうだ。居住地の避難場所に何が期待できるのかを事前に知っておけば、それに合わせた防災対策が立てられるとともに、災害時のトラブル防止にもつながるだろう。

災害発生時:動物がパニックになっても対処できる心構えを

災害が発生した時は、まず飼い主が身の安全を図った上で、速やかに動物を保護する。その際、パニックでいつもと違う行動をとる可能性もあるため、落ち着かせることに努めながら犬にはすぐにリードを着け、猫や小動物はクレートやキャリーバッグに入れる。

避難する場合は、首輪やハーネスが緩んでいないことをしっかり確認する。小型犬の場合、クレートに入れて運ぶ方が安心な場合もある(念の為、リードはつけたままにする)。猫や小動物は、クレートやキャリーバッグに入れて移動する。その際、扉が開かないようにガムテープなどでとめると安心だろう。避難所に向かう途中は犬が興奮していることが考えられるので、リードをしっかり持ち、突然の行動に対処できるよう注意を払う。

イメージ

■避難所での生活1:ペットの健康管理

避難所では、ストレスで免疫力が低下したり、衛生状態の確保が難しくなったりして病気にかかりやすくなる。したがって、以下のような点に注意を払うことが重要である。

・排泄は決められた場所でさせ、衛生面や臭いに注意して適切に処理する
・抜け毛などが周りの迷惑にならない場所(屋外など)で、ブラシや濡れタオル等を使用して定期的に汚れを落とす
・食欲不振、便秘、下痢、不安定な精神状態などに注意して、迅速な対応に努める
・車中生活の場合、熱中症に気をつける(体温が高い、呼吸が荒い、舌が極端に赤い、意識が低下するなど)

■避難所での生活2:周囲への配慮と共生

また、ペットの安全・健康を確保するとともに、他の避難者に迷惑を掛けないための配慮も必要になる。

・動物が苦手な人、アレルギーがある人や不用意に近づく子供などがいることを意識して生活する
・トラブルの原因となる吠え・鳴き声、臭いなどの対策や、抜け毛、排せつ物の処理に注意する。東日本大震災では、「避難所で犬が放し飼いにされ、寝ている避難者の周囲を動き回っていた」などのクレームが報告されている
・飼い主同士がルール作り、お互いのサポートに努める
・避難所を出る時には、片付けや清掃を行う

一方で、動物好きな避難者もおり、みなさんのペットが人間に癒しを与えてくれることも充分にあり得る。円滑な人間環境を築けば、飼い主だけでなく同じ苦労を共有している方々にもペットが大きな力となるだろう。不幸にして避難を余儀なくされた場合に被害を最小限にとどめ、少しでもプラスに転じるためにも、こうした「もしも」への備えは充分に!

自治体の避難マニュアル

なお、前回紹介した「動物愛護管理計画」に基づいて、各自治体は災害避難に関するマニュアルを用意している。例えば神奈川県横浜市は、具体的な情報を織り込んだ「災害時のペット対策」を公開している。

非常に包括的なこのマニュアルには、「飼い主編」だけでなく「地域防災拠点編」、つまり避難所の運営者(=自治体)向けのノウハウも含まれている。学校を避難所として使うケースを例に、「ペットの一時保管場所(イメージ)」を示したモデル図や、導線の確保、手続きのプロセスなど多岐にわたる項目について詳細に書かれている。

避難所におけるペットの取り扱いは自治体によって異なるが、横浜市が自治体に提供している情報を知ることで、「同行避難」における市町村の役割(=期待できること)を飼い主も理解することができる。そうすれば、居住地の市町村が緊急時にペットに対してどう対応してくれるのか、横浜市との比較を通じて事前に学ぶことができる。

例えば、「最寄りの避難所では愛犬を別の場所で係留しなければならないので避難所では車中泊にしよう」といったように、愛犬と家族の事情に応じて、事前のシミュレーションに大いに役立つ。

横浜市のガイドライン(表紙)

また、環境省作成の「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」には以下の記述がある。
「東日本大震災では、(中略)ペット救済マニュアルの作成、エサやケージなど物資の備蓄を行っていたにもかかわらず、飼い主や市町村等の災害担当部署に『ペットとの同行避難』に関する意識が十分に浸透せず、多くの飼い主がペットを置いて避難したため、発災後の対応に苦慮した自治体が見られた。(以下略)」

こうした周知活動は本来行政の仕事ではあるが、飼い主も積極的に学習することで主張すべきことや自己責任で行うべきことを明確にしてくことをおすすめする。

《石川徹》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top