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【猫がなりやすい病気】猫白血病ウイルス感染症編…屋内で飼育することが1番の予防法

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どんな病気?

レトロウイルスの一種である猫白血病ウイルスに感染することで移る感染症。猫白血病の病原体が感染している状態であり、猫白血病とは別の疾患で、猫白血病ウイルスに感染した猫が全て白血病になるわけではない。

ウイルスに感染するとまずは口の中でウイルスが増殖する。次に、骨髄細胞に感染して全身にウイルスが播種(はしゅ、広がること)する。ウイルスに感染するかどうかは、感染時の猫の年齢や免疫状態、ウイルスの型、種類等が関連している。一般的に新生子がウイルスに暴露された場合は80~100%の確率で感染が成立し持続感染するが、3ヶ月を超えると25%まで減少し、残りは治り、1歳を超えるとほとんど持続感染は成立しない。

感染して最初の1-2カ月は、熱が出たり食欲がなかったり非特異的症状だが、時に白血球や血小板が減ったり、貧血が起こったりと重篤な症状を示すこともある。この時点で輸血やインターフェロンでの治療を行い、免疫力が上がれば、ウイルスは持続感染せず今後は猫白血病ウイルスに感染しない。

持続感染した猫は血液疾患を罹患しやすくなり、リンパ腫、骨髄異形成症候群、白血病、赤芽球ろう、免疫介在性血球減少症、免疫不全、糸球体腎炎などの腎臓病で4年以内に90%が死亡すると言われている。リンパ腫に関しては若い猫で前縦隔や腎臓にリンパ腫を作りやすい。胸水が溜まったり、前縦隔に腫瘤ができることによる呼吸困難を主訴に来院されることも多い。治療法は化学療法にはなるが、縦隔型リンパ腫の場合は平均生存期間が3ヶ月とかなり厳しい。また、免疫不全のため口内炎や歯肉炎、発熱や日和見感染などを起こしやすくなるので二次感染にも注意が必要である。

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かかってしまったら?

猫エイズや猫白血病ウイルス感染症といった、レトロウイルスの感染による病気は、一度感染すると体内から排除することは難しいうえ、発症するとウイルスを排除する治療薬も存在しないので、治療よりも予防が大切になる。

もし、室内で飼っている猫が外に逃げてしまったりして暴露された可能性が出てきた場合は動物病院で血液中の抗原を調べることで検査できる。スナップ式の簡易キットがあるので、10分ほどで結果は出るうえ、感度と特異度はほぼ100%なので信頼性の高い結果を得ることが可能だ。ただ、暴露後すぐには抗原が上がってこないので、28日以上経過してから検査をしてほしい。

予防法は?

まずは、感染猫との接触をしないこと。感染経路が毛づくろいや共同で飲食することによって、鼻汁や唾液から水平感染することが多い。そのほか、経胎盤感染や乳汁感染で親からの垂直感染が起こることもある。一度発症すると、ウイルスの排除が困難であるので、感染しないように屋内で飼育することが1番の予防法である。

今飼っている猫が感染していると分かっている場合で、同居猫がいる場合は、ケージやエサや水の皿等の媒介物になりうるものは共用しないようにする。それほどウイルス自体は強いものではなく、野良猫のウイルス保有率も5%ほどと低いため、過剰に心配する必要はなく、上記のことを気をつければ感染を防ぐことができる。

また、免疫力の弱い若齢の猫は特に注意が必要である。1歳未満で感染した後に持続感染には至らず、回復した猫に関しては完全にウイルスが消失するまでは垂直感染の原因になることがあるので、1年間は妊娠させないようにしてほしい。逆に回復後1年間はウイルス再活性化の可能性があるので経過は注意してみていく必要がある。

予防法としてワクチンは存在しているので外に行く猫は接種した方が良い。ただ、100%の感染予防は難しいこと、一般的によく打たれている3種混合ワクチンと比べて、ワクチン接種部位肉腫の発生率が高くなっている(1000頭~10000頭に1頭)ので体幹部に接種しないことは大切であり、今までなかった腫瘍に気づいたらすぐに病院に行ってほしい。

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《M.M》

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