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WWF、次のパンデミックを防ぐための緊急行動を提言

WWF、次のパンデミックを防ぐための緊急行動を提言
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世界自然保護基金(WWF)は、報告書「COVID 19: urgent call to protect people and nature (COVID 19:人と自然を守るための緊急の呼びかけ)」を公表し、次の動物由来感染症のパンデミックを防ぐために必要な対応を提言した。

WWFが報告書の中で動物由来感染症の主因として指摘するのは、森林破壊や土地利用の変化により生じた新たな病原体との接触、森林破壊の原因となる非持続可能な農業や畜産の拡大、そして病原体を拡散させる野生生物の取引だ。

1990年代以降、世界では178万平方キロメートルの森が失われ、現在も約10万平方キロメートルの森林が、農地や牧草地などに転換されている。開発優先の姿勢が強まったブラジルでは、4月の森林減少率が前年比で64%も増加した。

また、検疫をすり抜け、違法に行われる野生動物の密輸も後を絶たず、パンデミックのリスクが引き起こされている。

感染症の専門家によると、人の感染症のうち、実に6割が動物由来とされている。また、現時点では確実ではないにせよ、新型コロナウイルス感染症も、こうした動物由来感染症の一つと考えられているという。

WWFインターナショナルの事務局長は、発表にあたり、次のように述べている。
「自然破壊と人間の健康とがつながっていていることを早急に認識しなければ、遠からず次のパンデミックに見舞われることになるでしょう。大きなリスクを抱える野生生物の取引を抑制し、森林破壊と土地利用の転換をやめ、持続可能な食糧生産に移行すれば、このリスクは抑えられ、生物多様性の損失や気候変動などにも対処できることになります」

また、WWFジャパン自然保護室シニアダイレクターは、この問題が日本とも深く関わっている点を指摘し、「野生生物を絶滅から守り、生物多様性を保全する取り組みは、私たち自身の社会や、人間の健康を守っていく上からも、より重要な取り組みとなる」と述べている。

同団体は、9月の国連生物多様性サミットに向け、この観点を野生生物の利用や開発に関わる政策、ビジネスの意思決定に組み込むと共に、緊急の行動を取ることを求めるとしている。

《鈴木まゆこ》

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