本連載では、令和元年11月に生まれた筆者の長女と4才の保護猫の暮らしを綴っています。今回は、娘に興味津々な猫のちょっとじれったいエピソードです。
猫なりの“ソーシャルディスタンス”
娘がリアクションを起こすたびになにかと慌てる育児初心者の私や夫を、猫タワーの上から猫がじっと見ている…そんな光景がわが家の日常になっていました。娘が大きな声で泣いたり臭いウンチをしたりしても猫は特に動揺することなく、ときには丸くなって眠っていることも。どう見ても狸寝入りなのですが、それだけ環境に馴染んでくれたことを嬉しく思っていました。
娘が生まれて2か月。新生児のころはほとんど見えていなかった娘の視力は日に日に発達し、ついに赤ちゃんメリーを目で追うように。次第に自分から手を伸ばしてみたり、声をあげて笑ってみたり、子どもの成長は本当に早いものです。
するとある日、娘の機嫌がいいタイミングを見計らって猫のほうから娘に近づいていくようになりました。ただ、娘を泣かせてしまったら大変だと思っているのか、それとも意外と人見知りしていたのか、一定の距離を保ったまま人形のようにじっとしている猫。すぐそばにいる猫に娘が反応してくれる日を今か今かと心待ちにしていましたが、娘には猫が「生き物」であるということがなかなか伝わりません。猫がただただ娘を見守り続けるという、じれったい日々が続きました。
かまってニャン! 思いきって近づいてみると…
私が泣いている娘をあやしていると、ある日突然、猫が娘に背中をすりつけてきました。動画は初めて猫から娘にアプローチしてきたときのものです。耳や背中に触れるちいさな手にゴロゴロと喉を鳴らす猫。娘が自分の意志で猫をなでたらどんなに可愛いだろうと期待しましたが、泣き止まない娘はそれどころではなく、やはり今回も「もふもふのなにか」を猫だと認識することはできませんでした。
まだまだ想いが一方通行の猫でしたが、猫からアプローチをかける形でふたりの距離は少しずつ近づいていきました。次回、思いがけない形で猫の“片想い”が叶い、日に日に賑やかになっていく毎日についてお話しします。
こさい たろ:フォトグラファー
2年前に、猫と一緒にお嫁入りしました。現在、夫と猫と娘(0才)の3人&1匹でなかよく暮らしています。
猫:名前はシェリル。
ラテン語で「愛しい人」「大切な人」の意味。(英語の「Dear」の語源という説も)。銀色の毛並みで“かぎしっぽ”。L字に曲がった尻尾でたくさんのしあわせを招いています。