本連載では、令和元年11月に生まれた筆者の長女と4才の保護猫の暮らしを綴っています。今回は、娘には手加減してくれる猫のエピソードです。
大人に容赦はない猫、でも娘には…
娘は生後3か月で初めて猫を“動物”だと認識し、生後4か月になると猫の姿を四六時中目で追うようになりました。猫に気がつくと必ず手を伸ばし、ふわふわの毛並みを楽しんでいます。
猫は、私や夫が触ると気分によってはなかなか強い力で噛みついてくることがあります。動物愛護団体から「この子は噛み癖があって」という忠告と共に猫を譲り受けた当時と比べると随分と穏やかになりましたが、4年経った今でも甘噛みでさえ少々強すぎることが…。喉をゴロゴロと鳴らして撫でられているときでさえ唐突にガブッと噛みつくこともあり、この力で娘に牙を剥いたら大変だと内心ヒヤヒヤしていました。
ところが、不思議なことに猫が娘に対して牙を剥いたことはこれまで一度もありません。おまけに娘はまだ力加減を調節できないため、猫の耳をぎゅっと握りしめてしまったり、しっぽを強く引っ張ってしまったり、見ている私のほうがドキっとするような触り方をしてしまいます。それでも猫が噛みつく様子は一切なく、静かに耐える猫を見かねて私が娘の手をほどく毎日でした。
娘から猫へ話しかけるように
あるとき、娘と猫がふたり並んで大好きなおもちゃ・メリーを眺めていました。集中してメリーを眺める猫を私がツンとつつくと、驚いて思わず声を上げたものの、娘の顔を見るやいなや黙る猫。犯人が私だと分かれば噛みついたような気がしますが、“赤ちゃんならいいや”と許してくれたことに、猫への愛しさも倍増したのでした。
さらに、日を追うごとに猫と娘は親密になっていき、娘から猫へ話しかけるようになりました。生後4か月、発語はもっと先ですが、猫の姿が視界に入ると嬉しそうに声をあげる娘。私や夫が話しかけても振り向きもせず平気で無視する猫ですが、娘の呼びかけには反応してくれる優しさを持ち合わせていたようです。
猫の手加減はいつまで続く?
今日も私は思いきり噛みつかれながら、猫の爪を切りました。「噛まない我慢ができるなら、私に対してもそうしてよ…!」とため息が出ますが、それとこれとは違うようです。何年も先になるでしょうが、娘が猫の爪を切ったなら噛まずに我慢してくれるかな? と淡い期待を抱きます。どうなることでしょうか。
そして娘が生後5か月を迎えようとしていた頃、引っ越しが決まりました。ただでさえ環境の変化に敏感な猫…次回は引っ越しで起こった猫に関する心配事やドタバタについてお話しします。
こさい たろ:フォトグラファー
2年前に、猫と一緒にお嫁入りしました。現在、夫と猫と娘(0才)の3人&1匹でなかよく暮らしています。
猫:名前はシェリル。
ラテン語で「愛しい人」「大切な人」の意味。(英語の「Dear」の語源という説も)。銀色の毛並みで“かぎしっぽ”。L字に曲がった尻尾でたくさんのしあわせを招いています。