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WWF、地球の健康診断書「生きている地球レポート2020」を発表…50年で生物多様性が約7割減少

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  • WWF、地球の健康診断書「生きている地球レポート2020」を発表

WWFインターナショナルは、9月10日、「生きている地球レポート2020」を発表した。

同報告書は、生物多様性の豊かさと、人間の消費と廃棄が地球に与える負荷という観点から、地球環境の現状を包括的に報告するもので、1996年以来、2年に1度のペースで発表されている。

2020年版では、4300を超える脊椎動物種の約2万1000の個体群調査の結果、LPI(生きている地球指数)は地球全体で1970~2016年の間に平均68%減少したという。一方で、人間による消費は地球が生産できる範囲を約60%超過。つまり、今の生活を維持するには地球1.6個分の自然資源が必要という結果になったのだそう。

同報告書にて今回初めて、減少を続ける生物の多様性を回復させるシナリオを、科学的な根拠に基づいて明らかにしている。このまま何もしなかった場合と対策を取った場合の将来予想仮説を立て、生物多様性の回復傾向を調査。生息地保護などの環境保全策を強化するだけでなく、持続可能な生産と消費の施策とを組み合わせることが、生物多様性回復には必須であることを示している。

WWFジャパンのエコロジカル・フットプリント担当である清野比咲子氏は、「人類の歴史のなかで、今ほど、大きな変革に迫られているときはありません。日本でも、生物多様性を回復させ、気候変動を抑える、新たな経済のしくみやライフスタイルの転換を求める『グリーン・リカバリー』という考え方が重要です。」と述べている。

また同社は、2020~2021年は、2030年までの生物多様性回復策を決める国際的取り組みがある重要な時期で、同報告書が示したように、生物多様性を元に戻すまで回復するには、環境保全策の強化と持続可能な生産・消費策の両方をセットにした、統合的な取り組みを確実にする目標である必要があるとしている。

さらに、WWFでは、持続可能で豊かな未来を作るために、政策決定者、ビジネスリーダーたちに対して、野心的で測定可能な2030年目標を設定し、確実な実行を働きかけていくとしている。

《鈴木まゆこ》

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