トラやチーターなどネコ科の動物はファンも多い。一般に、ネコ科の動物は41種に分けられており、動物園では様々なネコ科動物が飼育されている。アニメ『けものフレンズ』で人気となったサーバルキャットや最近ではスナネコも話題だが、ここでは「ウンピョウ(雲豹)」を紹介したい。
ウンピョウ(Clouded Leopard)は雲のような模様をしていることからこの名前があるが、一般の人の意見だと「ヘビの柄みたい」という人が多く、あまり雲のイメージはない。しかし、よく見ると、ヒョウやジャガーと違い、斑点のひとつが大きく形も丸型から細長い縞模様のものなどバリエーションが豊富だ。体長が1メートル以下ということで小型だが、分類上は、トラやライオンなど大型ネコ科獣(4 big cats)に近いとされる。
進化の過程で大型ネコ科獣と小型ネコ科獣をつなぐ種とも言われている。舌の骨が両者の間をとるような特徴になっている。そのため、ライオンなどのような咆哮ができない。小型ネコ科動物の特徴である「ゴロゴロ」とのどを鳴らすこともできない。しかし、犬歯(牙)の大きさは頭蓋骨の大きさに比して長く大きい。
生息域はネパールなど山岳地帯から中国南部、東南アジアまでで群れは作らないとされている。体長のわりには手足が太く木登りが得意だ。ネコ科の動物は爪を活かし木登りを得意とするが、降りるのは苦手。しかしウンピョウは柔軟に動く後ろ足首を使い、頭を下にしながら器用に木から降りることができる。
国内でウンピョウが見られる動物園は多くない。よこはま動物園ズーラシアか高知県香南市ののいち動物公園の2か所だ。のいち動物公園の個体もズーラシアから譲り受けたもの。野生でも希少な動物で、生態がわかっていない部分も多いという。
取材したズーラシアでは、オリの中に設置された棚のようなところで「タヤ」という個体が昼寝をしていた。木陰になっており過ごしやすいのか、時折寝返りをうったり仰向けになったりして、リラックスしていた。場所は通路からも見通せる場所で、人目を気にする様子もなかったが、性格は慎重で、部屋からの出入りにはいつも時間をかけているという。
その他にもネコ科の動物が飼育されている。トラの「デル」は、いかにもトラらしいいかつい顔立ちだが、ズーラシアで3回も出産子育てをしているベテラン母さんだそうだ。ガラス近くでくつろぐことが多いので、お目にかかれることが多いはずだ。
アムールヒョウの「ダッシュ」は広島生まれの12歳。ズーラシアに来て9年目。木登り・ジャンプが得意で、寒くなるこれからはさらに動きが活発になるという。
サバンナゾーンでは、キリンやシマウマといっしょにチーターもみられる。「エジプト」は丸顔でしっぽがふさふさしている。「サハラ」はシマウマと追いかけっこをすることもあるという。エジプトとサハラは姉妹で、ともに南アフリカの動物園からやってきたそうだ。
なお、展示は動物の体調等によるので、目当ての動物が展示されているかどうかは下調べしておくとよい。取材したズーラシアは、新型コロナウイルス対策で、現在入園はホームページからの予約制となっている。