宝島社は、国宝絵巻「鳥獣戯画」の解説書『決定版 鳥獣戯画のすべて』を、3月10日に刊行した。
国宝「鳥獣戯画」は、擬人化された動物たちや、市井の人々の営みなどを墨一色で躍動的に描いた絵巻物で、約1000年前に描かれ、漫画やアニメーションのルーツとも言われている。
京都の高山寺に伝わるものだが、“誰が、何のために描いたのか?” “何を物語っているのか?”など、いまだ多くの謎に包まれた作品である。同書は、そんな「鳥獣戯画」研究の第一人者である美術史家・上野憲示氏の監修のもと、「甲乙丙丁」全4巻を収録し、その謎と魅力に迫った1冊。
「鳥獣戯画」は既に失われた部分も多いため、上野氏制作協力の甲巻復原図も掲載し、絵巻の全貌や名場面などをわかりやすく解説。甲巻に関しては、国内外に散らばっている「断簡(=抜け落ちた絵)」と「模本(=模写した絵)」などのコレクションや、東京国立博物館で開催される「鳥獣戯画」特別展でも公開予定のない、江戸時代の絵師・狩野探幽による模写などのマニアックな資料も収録されている。
鳥獣戯画ファンや美術ファンはもちろん、歴史好きの人まで幅広く楽しめる「鳥獣戯画」解説書のベスト版となっている。