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東北の架空の港町を舞台にした犬漫画の3巻『柴ばあと豆柴太 3』、講談社より刊行…東日本大震災から10年

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『柴ばあと豆柴太 3』、講談社より刊行
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東日本大震災から10年。東北の架空の港町・福音浜を舞台に、娘と孫を失った柴ばあと、2011年3月11日に出会った豆柴犬との、静かで美味しいものに囲まれた日々を描く『柴ばあと豆柴太 3』が3月9日、講談社よりされた。

同作は、東日本の架空の港町・福音浜でお弁当屋さんを営む頑固なおばあさん・柴ばあと、元気いっぱいで町のみんなが大好きな豆柴犬・豆柴太の1人と1匹の日々を描いた作品。 1、2巻はほとんどが東北で販売されたため、東北以外ではなかなか出会うことが難しい隠れた名作となっていたという。

主人公は、自分を人間で、柴ばあの孫だと思っている豆柴犬の豆柴太。豆柴太の視点で語られる福音浜の人々は、暖かく、そして悲しい。でも大好きな人たちの漏れ出る悲しみに、豆柴太が一生懸命、少しでも寄り添おうとするその姿勢が愛おしい。

自身も震災で母を亡くした佐藤慧氏(D4P代表理事・フォトジャーナリスト)は1巻の解説で、「『東北は~』『被災者は~』といった言葉は便利だが、そうした言葉からは見えてこないひとつひとつの大切な物語を、『柴ばあと豆柴太』は教えてくれる」「柴ばあと豆柴太が紡ぐ日々のように、それぞれの内にある世界にそっと心を寄せていくこと、その淡い重なり合いが、豊かで優しい社会を築いていくために必要なものだと思う」と、述べている。

10年の節目で、東日本大震災への関心が薄らぐわけではない。むしろここから「絆」と「再生」の物語がはじまる。また、コロナ禍の今だからこそ、人の絆の物語に出会うチャンスかもしれない。「日常は永遠じゃない…今こそ読むべき再生の物語」。

《鈴木まゆこ》

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