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シニア猫の多飲多尿は病気のサインかも…症状や治療方法は?

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シニア期に入った猫ちゃんたちは、若い時より一層眠っている時間が増えてくるかと思います。これは自然なことですからその他体調に問題がなければ大きな心配はありません。ただし、「お水を飲む量が増えてきた」は病気のサインである可能性があります。

そこで今回はお水をたくさん飲んでいる時に考えられる病気やその治療方法に関してご紹介します。

猫の平均飲水量

猫の水を飲む量は体重1kgに対し50ml前後が平均的です。3kgであれば150ml、5kgであれば250mlですね。食事から摂れる水分もありますので飲水量としては50~100ml程度の誤差が出ても問題はありません。

本来であればシニアになるほど運動量が減ってしまうため水を飲みたがらなくなる猫もいます。飲みすぎは病気のサインかも? とお伝えしましたが反対に飲んでいなすぎる場合も病気や不調のサインかもしれません。

愛猫の飲水量の変化に敏感になろう

しきりに水飲み場に行っている、あっという間のお水のお皿が空っぽになる、など飲水量の変化がわかりやすく出る猫もいますが、飲水量の微妙な変化は意識していなければ気が付かないことの方が多いかと思います。

そこでポイントを押さえ毎日の飲水量を把握しておきましょう。飲水量の管理は毎日計測したお水を決まった時間に与えることです。交換するときに残ったお水の量を確計測し一日何ml飲めているのか把握しておきましょう。最近では計測目盛がついた猫用のお皿も販売されていますのでぜひ活用してみてください! 猫は綺麗好きな動物ですから、毎日お皿は洗い新鮮な水をあげてくださいね。

またトイレの交換時におしっこの色に注目してみてください。多飲傾向のある猫のおしっこは薄い黄色~透明になっています。反対に飲水量が少ない場合は濃い黄色~オレンジに近いおしっこをします。

考えられる病気…腎不全

たくさん水を飲み、色が薄いおしっこを出すようになるのは腎不全の代表的な症状です。15歳以上の猫の30%以上は腎不全を発症している*と言われ、愛猫家の皆さまにはぜひ注意していただきたい疾患です。

多飲多尿は腎不全の初期に現れる症状で、この段階で気が付くことができれば進行を遅らせることができるかもしれません。一度破壊されてしまった腎機能はもとに戻せないため原則は進行を遅らせる対症療法がメインとなります。治療方法は腎機能をサポートし腎臓への負担を軽減する内服薬での治療、老廃物の排出を促す皮下点滴や静脈点滴による入院治療などが挙げられます。また食事を腎不全適応の療法食に変更することで腎臓への負担を軽減することも可能です。

考えられる病気…子宮蓄膿症

避妊手術を受けていないメスの猫に発症する子宮蓄膿症。細菌感染が起こることで子宮内に膿がたまります。発生する毒素によって脳から発せられる排泄の命令系統がうまくいかなくなり多飲多尿の症状が出始めます。膿が限界まで溜まることで子宮が破裂してしまうこともあり、命に関わる緊急性の高い疾患と言えます。

治療としては麻酔下で行う子宮卵巣摘出の手術が第一選択となりますが、日を追うごとに食欲や元気の低下が進み手術のリスクも高まるためできるだけ早くに病気に気が付いてあげることが理想的です。手術後は点滴を行いながら数日入院し、ダメージを受けた体をケアしていきます。


多飲多尿の症状は大きな病気のサインかもしれません。比較的初期の段階で見られる症状のため、気が付いた時はその段階で動物病院を受診しておきましょう。尿を持参すると動物病院で尿の濃さを測定し正常か異常化を判断してくれますよ! 愛猫の変化を見逃さず、穏やかなシニアライフを送ってもらいましょう。

*参考:Management of the elderly cat Sarah M. A. Caney/European Journal of Companion Animal Practice 2015, Autumn 25(3)
《吉田つぐみ》

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