インターペット2022では、ペット業界以外からの出展も見られた。中でもユニークだったのは、瓦の専業メーカーである三州野安(さんしゅうのやす)。三州は愛知県の西三河地方のことで、淡路(兵庫県)、石州(島根県)と並ぶ三大瓦産地の一つ。瓦づくりの歴史は江戸時代から続いている
瓦で猫ハウスをつくるプロジェクト
2020年6月、三州野安は地元・大同大学との共同企画「瓦猫プロジェクト」を開始した。情報デザイン学科の学生が、瓦素材を使用した新しい機能の個性的な猫ハウスを提案。市販化候補として選ばれた6作品は、同年11月に「インターペット愛知」で展示され、来場者へのアンケートで最も人気を集めた作品が商品化された。
同社のブースには、今年3月から販売が始まった「瓦猫」が展示されていた。素材の風合いを生かした「素焼き」に加え、雪で作ったかまくらをイメージした「しろ」と、桜の花を思わせる「さくら」の3色から選べる。すでに購入した人もいるそうで、出だしは好調のようだ。
中は、程よい囲まれ感で落ち着いて寝られそうな空間。会場に訪れていた猫も気に入った様子を見せ、入り込んでいた。これからの季節、暑い日には瓦猫の上に乗れば瓦素材の“ひんやり”感で気持ちよく休むこともできるだろう。また、汚れが付きにくく掃除がしやすいため、衛生面の利点もあると言える。
また、カスタムペインター・倉科昌高氏とコラボレーションし一点物の「瓦猫」3種類も制作。会場にはそのうちの一つが展示されていた。同氏は「『レオパード』はリアルな表現にこだわっている。他の2つはそれぞれ可愛らしさ、ポップさをテーマにした。縁あって今回のコラボに至ったが、日本の伝統的なものづくりの仕事に関わることができて嬉しい」と話す。
猫耳と肉球をデザインした屋根瓦
三州野安の展示でもう1つユニークだったのは屋根瓦だ。屋根の端に使用される「止瓦(とめがわら)」が、肉球と猫耳をモチーフにデザインされていた。参考出品で市販化は決まっていないそうだが、反応が良ければ住宅メーカー等に売り込みたいという。
同社の担当者は、「“猫ちゃんのお家だ!”といったイメージで、一般のご家庭で使っていただけたら」と語る。創業100年を超える瓦専業メーカーだが、「こうした面白い取り組みも行っていることを知っていただきたくて、ペットイベントに参加しています」とのことだ。伝統的な瓦と現代風のデザインが融合した瓦猫や止瓦で、独自性をアピールする展示だった。