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シマフクロウの繁殖地を守るため、北海道に新たな野鳥保護区が誕生…日本野鳥の会

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日本野鳥の会は、現在約160羽しか生息していないシマフクロウ(絶滅危惧IA類)の繁殖地保全のため、北海道・日高管内の民有地の購入し、土地所有者との協定を結んだ。これにより、管内3地区で合計25.7haを新たに保全、野鳥保護区とすることができたという。

日本野鳥の会は、会員・サポーター数約5万人を有し、「野鳥も人も地球のなかま」を合言葉に、自然と人間とが共存する豊かな社会の実現をめざして活動を続けている自然保護団体。シマフクロウやタンチョウなどの絶滅危惧種の保護活動や、野鳥や自然の楽しみ方や知識を普及するためのイベントや出版物の発行なども行っている。

同会がこのたび保全した地域には、かねてよりそれぞれシマフクロウのつがいが生息・繁殖している。近年進む近隣の森林伐採や開発計画から各つがいの環境を保護・保全するため、「渡邊野鳥保護区シマフクロウ日高第3」(12.1ha)、「野鳥保護区日高第2」(3.7ha)、協定を結んだ土地を「松俊(しょうしゅん)野鳥保護区シマフクロウ日高第1」(5.0ha)、「松俊野鳥保護区シマフクロウ日高第2」(4.9ha)と名付け、恒久的に保全するという。

なお、シマフクロウ日高第1、同日高第2、同日高第3にはそれぞれ1つがいが繁殖しており、野鳥保護区や地区の具体的位置や地名は、シマフクロウの生息かく乱等の可能性を考慮して公表していない。

シマフクロウは、絶滅危惧IA類に指定されている国指定天然記念物で、国内希少野生動植物種でもある。河川や湖沼周辺の森林に生息する魚食性の世界最大級のフクロウで、明治期までは北海道内に広く生息していたとされる。しかし、繁殖に必要な環境が森林伐採等により喪失し、餌の魚類が河川改修などにより減少したことで数を減らし、現在では北海道中部から東部にかけて約160羽程度が生息するのみとなっている。

同会では、シマフクロウについては環境省の保護増殖事業者として、繁殖に利用している民有地を買い取り独自の野鳥保護区とするほか、森林環境の整備や、繁殖期の餌不足や樹洞不足を補う給餌生簀(いけす)や巣箱の設置など、長期的な活動と当面の絶滅を回避するための保護活動の両側面から活動を行っているという。今回設置・拡大した保護区の景観は、同会のYoutubeで見ることができる。

《鈴木ひとみ》

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