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「大地のハンター展 陸の上にも4億年 」、大阪市立自然史博物館にて開催…7月16日~9月25日

特別展「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年~ 」
  • 特別展「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年~ 」
  • デイノスクス 生体復元モデル
  • イリエワニ 頭骨
  • ワシミミズク
  • オオスズメバチ
  • 白亜紀の肉食の哺乳類 「レペノマムス・ギガンティクス」化石標本 (複製)

特別展「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年~ 」が7月16日から9月25日の期間、大阪市立自然史博物館で開催される。

陸に上って4億年のうちに多様化したハンター(捕食者)。同展では、動物が生きていくために必要な営みである「捕食(捕らえて食べる)」に注目し、彼らの顎や歯、ハンティングテクニックなど、様々なハンターの起源と進化を紹介する。生態系におけるハンターの役割と重要性を解き明かし、ハンターが生きる自然の素晴らしさ、そして地球環境のこれからを考えていく。国立科学博物館が誇る貴重なコレクションを中心に、大型のワニやヘビ、ネコ科の哺乳類、フクロウなどの鳥類、ハチなどの昆虫類をはじめとする多彩な標本展示で構成した科学展覧会だ。

絶滅したものから現生のものまで、哺乳類、爬虫類、両生類、鳥類、昆虫類、多彩な捕食者の姿を魅力的な標本展示で紹介する。

超大型のものとしては、白亜紀に生息していた巨大ワニ「デイノスクス」の実物大生体復元モデルを、最新の研究成果をもとに国立科学博物館の研究員による監修で制作し、初公開する。デイノスクスは中生代白亜紀に生息し、恐竜も捕食していたとされる全長12mにも達する大型ワニ類。強力な顎が生み出す噛む力は1平方cmあたり1600kgともいわれている。

極小なものでは、血を吸うことでさまざまな伝染病を媒介しヒトを死にいたらしめる「蚊」 や、これまで感染した十数例のうち大半が死亡例ながら生態が謎の寄生虫「芽殖孤虫(がしょくこちゅう)」など、人類にとって最強のハンターも登場。

ハワイの日系二世実業家が後半生をかけて集めた哺乳類の美しい剥製で名高いヨシモトコレクション、テレビの動物番組に出演し人気を博した動物学者・千石正一氏が国内外で採集した貴重な両生類・爬虫類標本の千石コレクションなど、非常に価値の高い標本を展示。戦前のフィリピンで活躍した博物学者・山村八重子氏が所蔵していた超大型の「イリエワニ」の頭骨には、捕獲の際の名残か3発の弾痕が残っている。国立科学博物館が所蔵する貴重な標本や協力機関が所蔵する重要標本が一堂に会し、ほかでは見ることのできない「捕食者の展示」が実現する。

「ライオン」や「チーター」などネコ科の哺乳類、「ワシ」や「ハヤブサ」などの猛禽類、暗闇のハンターとしての能力を進化させた「フクロウ」の集合展示など、人気の高い動物標本を展示。また、大小さまざまな種類のワニの展示、特定の獲物しか狙わない偏食のハンター、毒使いのハンターなど、マニアックなテーマで切り分けた会場構成で、多様性に富んだハンターの姿を浮き彫りにしていく。さらに、それぞれの生き物の生態がよくわかる画像や映像もふんだんに展示する。

同展は4つの章で構成される。第1章「太古のハンター」では、遠い昔に栄え、そして絶滅した生物の系譜を追いながら、ハンターの起源と進化に迫る。節足動物と脊椎動物の顎の成り立ちの違いや、中生代に活躍した両生類・爬虫類、新生代の大地に栄えた哺乳類など、太古に活躍したハンターを、化石や骨格標本を通して紹介する。

太古のハンターというと大型肉食恐竜が思い浮かぶが、恐竜が常に生息環境の頂点にいたわけではない。同章では恐竜を食べていたと推定されるワニ類や哺乳類などにも焦点をあて、太古の地球の多様性を示す。ワニは約2億3000万年前の三畳紀に出現して以来、現生までほとんど形を変えずに水辺の生態系に君臨し続けているハンター。恐竜絶滅後の大地には哺乳類が繁栄した。「爬虫類のような哺乳類」という意味の学名をもつ白亜紀最大の哺乳類「レペノマムス・ギガンティクス」は、鋭い前歯と強靭な顎で、恐竜の幼体も捕食していたとされている。「スミロドン」などがもつ大きな犬歯はハンターの強力な武器。しかし実は犬歯の奥にある「裂肉歯(れつにくし)」の進化にこそ、肉食哺乳類のハンターが繁栄した答えが隠されている。

第2章「大地に生きるハンター」では、さまざまな地球環境に順応している現生のハンターを展示。「水辺」「森・密林」「草原」「荒野(砂漠・岩場)」の4つの生息域ごとに代表的なハンターを紹介するほか、「おびき寄せ・待ち伏せテクニック」や「暗闇」などの切り口で、ハンターの特徴を解説する。

第3章は「ハンティングの技術」。ハンターは、獲物を狩るために最適な体の仕組みや技術を獲得、進化させてきた。特別な能力をもつハンター、特定の獲物しか狙わない「偏食」ハンター、「毒」を狩りに利用するハンターなどを取り上げ、その特徴を紹介する。

第4章「フォーエバー・大地のハンター」では、人間によって絶滅してしまったハンターと外来のハンターを取り上げ、人間と地球の仲間たちとの持続可能なバランスある関係づくりに向けたメッセージを発信する。

■特別展「大地のハンター展 ~陸の上にも4億年~」概要
日程:7月16日~9月25日
休館日:月曜日 (祝休日の場合は開館し、翌平日休館 。ただし8月1日・8日・15日は開館)
開館時間:9時30分~17時、入館は閉館の30分前まで
会場:大阪市東住吉区長居公園 1-23 大阪市立自然史博物館 ネイチャーホール(花と緑と自然の情報センター2階)
観覧料:大人1800円(1600円)、高大生1500円(1300円)、小中生700 円(500円)
※()は前売り料金
※未就学児は無料
※高大生は要学生証
※特別展入場料で、大阪市立自然史博物館常設展(当日限り)も閲覧できる
※障がい者手帳などを持参の人はは無料(要証明書介護者1人を含む)
※今後の諸事情により、開館時間や休館日等について変更する場合がある。最新情報は公式サイト等で確認
※国立科学博物館(東京・上野)で開催の同展(2021年3月9日~6月13日)とは、一部展示内容が異なる

《山本真美》

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