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愛犬との生活で気をつけたいこと vol.2…よりペットに優しい社会の実現を目指して

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前回は、愛犬家として必要な配慮について、人それぞれに異なる価値観と散歩時のポイントをメインに紹介しました。今回は、さらに別のシーンにおける注意点を紹介するとともに、マナーの向上がペットに優しい社会の実現につながることを解説します。

愛犬家に求められる配慮4:動物が苦手な人・体質的にNGな人

動物が苦手な人は、犬が吠えることをストレスに感じます。時には恐怖感を持たれる場合もあるでしょう。飼い主が吠えをコントロールできるよう、日頃のトレーニングが大切です。嬉しい興奮や恐怖感など、吠えるきっかけも様々です。飼い主は、愛犬の性格をよく理解していると思います。できるだけ前もって判断し、吠えにつながる状況を事前に回避する配慮も大切です。

このほか、臭いや抜け毛などにも注意しましょう。それが、愛犬の安全と愛犬家の心地よさにつながります。外出の際は、愛犬の身体を拭くウェットティッシュやタオル、抜け毛を掃除する粘着ローラーなども持参すると便利です。

また、動物は好きでもアレルギーのため体質的に受け付けないという場合もあります。私の知人で愛犬4頭と暮らしている動物好きがいますが、猫に触れるとアレルギー症状を起こして眼球にひどい水膨れができるそうです。アナフラキシーショック症状を呈する動物アレルギーも報告されているようで、「好き嫌い」といった好みの問題だけでなく、こうした事情も理解しておくことが肝要です。

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愛犬家に求められる配慮5:ドッグラン

当然、ドッグランでは上記のような問題はほとんど生じません。ただし、同じ愛犬家でも自分の考えが必ずしも他の飼い主と同じではないことを認識してください。例えば、食べ物にこだわりの強い飼い主は、品質の良いものであっても他人が愛犬におやつを与えるのを喜ばない場合があります(アレルギーなどを持っている場合もあります)。また、興奮し過ぎてしまうため、他の犬がいる場所ではおもちゃの使用を控える飼い主もいます。

お互いが気持ちよく過ごすため、犬同士の交流前にできるだけ飼い主同士がコミュニケーションをとるよう意識しましょう。同じ愛犬家同士、簡単な挨拶だけでも円滑な関係は築けると思います。また、社交性や遊びのスタイルなど、犬もそれぞれで相性の良し悪しもあります。飼い主の挨拶が済んだら、リードを外す前に愛犬たちにもコミュニケーションの機会をあげてください。

犬は、現在「ジャパンケネルクラブ」が公認しているだけでも約200種と多様性に富んでいて、性格以外にもサイズや体型・体力なども様々です。サイズごとにエリアが分けられている施設で指定の場所を使用するのは言うまでもありませんが、同じスペースの中でもリスクを100%排除することは不可能です。交通事故などの心配はありませんが、犬同士の衝突事故に遭わないよう、または事故を起こさないために、愛犬からは目を離さないようにしましょう。

できるだけ小さなお子さんの同伴は控えた方が安心ですが、やむを得ない場合は愛犬と同時にお子さんにも充分な注意を払ってください。ご自身の愛犬にとっては慣れた相手でも、他の犬には見知らぬお子さんに近づかれることでストレスがかかったり、その結果、思わぬ事故につながったりすることもあり得ます。

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愛犬家に求められる配慮6:ドッグカフェ

愛犬と一緒のお茶や食事は愛犬家の楽しみですね。ドッグカフェであっても、あくまで食事の場です。人間社会のルールも含め、基本的なマナーには注意しましょう。

特に、椅子に乗せる場合は直接ではなく、持参したマットやブランケットを敷きましょう。ファミリーレストランなどで、小さなお子さんをソファ席に上げる時には靴を脱がせると思います。犬の素足は人間の土足と同じと考えましょう。

テーブルの上の食べ物には、興味津々でからだを乗り出すことが多いと思います。この時にやりがちなのが、前足をテーブルに乗せること。これにも注意して、お行儀よくお座りまたは伏せで待てるようにしましょう。

考え方は様々で、レストランやカフェはあくまで人間が寛ぐ場所と考える飼い主もいます。そうした方々は、子犬時代からリードトレーニングを心がけています。立った状態では少し苦しい位の長さでリードを踏み、愛犬が自ら飼い主の足元に伏せるよう促します。犬にとっては「伏せ」が精神的にも落ち着ける姿勢だそうで、この状態に慣れるとリラックスして待つことができるようになります。これが習慣になると、外出時における愛犬のストレス軽減だけでなく飼い主さんの負担もグッと減ると思います。

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愛犬家に求められる配慮7:その他

ドッグランやドッグカフェが営業しているショッピングモールなども、ペットの立ち入りをエリアによって制限しているのが普通です。抱きかかえれば良い場所や、頭までキャリーバッグなどに入れなければならないケースなど、ルールは様々です。動物が苦手な人も多く行きかう場所では、ルールに沿った行動に努めましょう。

エレベーターなど密閉空間になる場所では、ペット可であったとしても「ご一緒してもよろしいですか?」と、一声かけてから乗り込むことをおすすめします。タクシーを利用する場合も、こうした一声が和やかな空気を生むと思います。たとえ短時間でも気持ち良く過ごせるに越したことはありませんし、こうした配慮が少しずつ動物に優しい社会につながっていくのではないでしょうか。

それから、レンタカーを利用する場合も予約時に確認しましょう。レンタカー会社や車種によっては、ペット不可の場合があります。

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犬も含めて社会の一員として生活する

ヨーロッパでは、例えば地下鉄やショッピングモールで犬を連れた人を多く見ます。フランクフルトのビジネスホテルでは、飼い主の足元でチェックインを待つ大型犬を見たことがあります。パリのカフェでは、屋内の席でも大小さまざまな犬が飼い主と一緒に寛いでいます。

日本の愛犬家にとっては夢の様な光景ですが、これらの国で共通しているのは、犬たちが落ち着いていることだと感じました。歩いている時にリードを引っ張る様子はなく、カフェやホテルのロビーで吠えたり「うろうろ」していたりする犬も見た記憶がありません。犬たちの方が、人間よりも行儀が良いのではないかとさえ思うこともあります。

ドイツでは、犬を飼うためには税金がかかります。さらに大型犬の場合は、専門家にトレーニングを受けることも義務付けられているそうです。「犬と暮らす」ことに対する覚悟、というと少し大げさかもしれませんが、犬も含めて社会の一員として生活することに関する意識の高さによって、社会も犬を自然に受け入れる文化が出来上がったのではないかと思います。

日本でも、愛犬と一緒でいられる場所がもっと増えるよう、一人ひとりの愛犬家が高い意識をもって生活しましょう。秩父の三峯神社に、また一緒にお参りに行ける日が来ることを願って。

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《石川徹》

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