大和書房は、ベストセラー「生き物の死にざま」の著者が綴る、生き物が大人になるまでの驚きの成長戦略の数々を紹介する最新刊『生き物が大人になるまで~「成長」をめぐる生物学~』を7月22日に刊行した。
同書には、子供だけでなく、大人が読んでもためになる「成長とは何か」「学ぶとは何か」「大人になるとは何か」を考えるヒントになる物語が綴られている。
どれが一番優れているかということではなく、生き物たちは様々にその能力を伸ばし、活かしてきた。例えば、虫は本能を磨いてきたため、生まれながらに正確な行動を取ることができるが、想定外の環境の変化に対応できない。知能に頼る動物は、学ぶことで環境の変化に対応するが、成長に時間がかかり、しかも正しい行動を取れるとは限らない。
カエルとオタマジャクシ、チョウとイモムシのように大人と子供の姿が全く異なる生き物がいるが、大人になることが生き物たちの目標だとすると、オタマジャクシやイモムシのように弱い時期は、なるべく早く過ぎてしまった方がよいのか。
また、必ずしも子供が小さくて、大人が大きいとは限らない。例えば、キングペンギンの赤ちゃんは、モコモコの毛に覆われていて、大人のキングペンギンよりも大きい。子供と大人の姿が違う場合、それはそれぞれの時期に適切な姿をしているに過ぎない。
生物としてみてみると、子供は大人になるために生き、大人は子供を作るために生きている。生命は、それをただ繰り返しているだけ。生物の親は、子供のために命を捧げるが、親のために子供が自らを犠牲にする生物はいない。
など、多様で面白い生き物の成長の仕方から、人間にとっての「成長」とは何か。また、人間とは何か。を考えるきっかけになる1冊となっている。