動物のリアルを伝えるWebメディア

「目を見ているだけで癒される。愛犬は心の拠り所」…ブライダルファッションデザイナー桂由美氏[インタビュー]

ブライダルファッションデザイナー・桂由美氏
  • ブライダルファッションデザイナー・桂由美氏
  • 勝俣和悦氏と桂由美氏
  • アニマルワールドカップ代表理事・勝俣和悦氏
  • ブライダルファッションデザイナー・桂由美氏
  • 勝俣和悦氏と桂由美氏
  • ブライダルファッションデザイナー・桂由美氏

新型コロナウィルスの影響で、来年4月に開催が延期された「アニマルワールドカップ2020 in Tokyo」。人と動物の真の共生実現に向け、動物と一緒に体を動かす楽しさを国内外にアピールすることを目的としているアニマルスポーツの祭典だ。

競技のほかに、セミナーやワークショップ、音楽ライブやトークショーなども企画されているが、飼い主と犬とが一緒に参加できる非運動系イベントの目玉の一つにドッグファッションショー「アニマルファッションアワード」がある。特別審査員長は、自身も最近犬を飼い始めたというブライダルファッションデザイナーの桂由美氏。アニマルワールドカップ代表理事・勝俣和悦氏との対談を通し、イベントの意義と展望、ペットと暮らす喜びについて語ってもらった。

初めて人と犬のファッションを審査

----:「アニマルファッションアワード」特別審査委員長に桂由美さんが就任された経緯を教えてください。

勝俣和悦氏(以下、敬称略):桂先生から“何か協力できることがあれば…”と言っていただいたのがきっかけでしたね。去年、とある経営者が集まる会合で初めてお会いした際、アニマルワールドカップ2020 in Tokyoのチラシをお渡ししたら、興味を持ってくださって。後日改めてお話の場を設けて、特別審査員長をお受けいただきました。本当にありがとうございます。

桂由美氏(以下、敬称略):動物のファッションを審査した経験はありませんので、とても興味深いと思いました。これまで55年ファッションショーをやった中で、1回だけ犬に出てもらったことはあるんですよ。その時は特に綺麗な服は着せなかったので、今回色々なファッションを拝見できると思って楽しみにしています。

勝俣:もともと動物はお好きなんですよね。

桂:はい。でも、何しろ仕事一筋なもので、自分で動物を飼った経験がないんです。子供の頃に、母が犬を飼っていた記憶があるんですが、それ以来。出張が多く、海外に行くこともしょっちゅうですから、可哀想でしょう。その間、どこかに預けるのも心配ですしね。

勝俣:それが、今ようやく時が来たということで犬を飼い始めたそうですね。

桂:そうなんです。新型コロナウィルスの影響で、アニマルワールドカップに限らず、あらゆるイベントが延期になってしまいましたから、ほとんど家にいるように。それもあって、今までは諦めていた犬を飼うことにしました。トイプードルを飼っている知り合い(美容家の山野愛子さんのお孫さんで、山野愛子ジェーンさんの)紹介で私もトイプードルの男の子を迎えたんです。今日のように朝から仕事が詰まっている日は山野さんに預かっていただいています。

勝俣:そういう方がいると安心ですよね。

桂:生後4か月ちょっとで家に来まして、今6カ月。来た時すでに2.5kgでしたから、今はもう重くて抱っこできないんです。ファッションアワードの一次募集のためのチラシ撮影で抱っこしたトイプードルのマリアちゃんは軽かったですよね。やはり男の子だからかしら。

勝俣:実はうちもトイプードルなんです。もうすぐ12歳になる元気な男の子で体重は6kg。ですから、先生のワンちゃんも成長するとそのぐらいにはなりますね。

桂:しつけも経験がないので大変です。山野さんが一緒に教えてくださるので有難いです(笑)。オフィスではケージに入れているんですが、鳴いて鳴いて。それはもう大きな声で。

勝俣:今はまだ小さいですから、遊びたくてしょうがないんでしょう。もう少しすると落ち着くと思いますよ。

犬に似合うファッションを発見するのが楽しみ

----:桂先生にとっても初めてのご経験となる“ペットと一緒に参加するファッションショー”とのことですが、どのような意義や魅力があるとお考えでしょうか? 

桂:ファッションは、単に見た目を飾るものではありません。体を守るという機能はもちろん、気持ちが明るくなったり、ウキウキしたり、誰かと一体感を持つことができたりと心理的にも大きな影響を及ぼすものです。

勝俣:審査の際には、どのようなところに着目なさるのでしょう?

桂:犬に似合うファッションとはどういうものか、今回のアワードではそれを発見するのが楽しみです。また、見ている側も楽しくなってくるようなユーモアあふれるデザインを期待しています。

勝俣:それはいいですね。ペットと一緒に楽しむというイベントの趣旨にぴったりです。

桂:犬がいることで思わず微笑んでしまうような、そんなショーになるといいですね。ショーが来年に延期されて少し時間ができたので、私もデザインを考えてみるつもりです。私自身のショーは毎年2月。来年は犬が登場するワンシーンを考えようと思っています。

勝俣:それは楽しみですね! 先生のお力もいただき、ペットのファッションを考えるきっかけづくりができるといいなと思っています。ペットに服を着せることには賛否両論ありますが、要はTPOの問題だと思うんです。例えば、ハワイのような暑い地域では、保冷機能を持たせた服があります。水に浸すと1週間ほどひんやり効果が続くアロハがあったりするんです。日本には、虫よけ効果がある安全な素材を用いた服もあります。ショーでは、ただ可愛いだけではない、実用性にも着目したいと思っています。

----:ご自身のワンちゃんにこんな服を着せてみたいといったお考えはありますか?

桂:うちの子はまだ小さいですからね。でも、マリアちゃんのようなレディに着せたいのは、ドレス。今、マリアちゃんのバースデーのドレスをデザインしています。仕事でも洋装だけでなく和装もデザインしているのでそういったものや、そしてタキシード。この3つをデザインしてみたいですね。

勝俣:最近は自分が飼っている動物を連れて新しい家庭を築く人も増えました。私の知人が結婚した際、新郎新婦がそれぞれ犬を飼っていたので、結婚式では犬もウエディング衣装を身に着けて一緒に式を挙げていました。こういう時代が来ましたね。

桂:微笑ましいですね。

犬に幸せをもらいながら送る、これまでと違う生活

勝俣:ワンちゃんを迎えて良かったと思われた瞬間や出来事はありますか?

桂:人間の赤ちゃんでもそうですが、目を見ているだけで癒されます。純真そのものですよね。あの目でじっと見られると、慰められるし元気づけられます。じーっと見てますでしょう。すべて見透かされて、あらゆる行動を記憶されそうで(笑)。

勝俣:きっと覚えていると思いますよ。何時に家を出られて、どのような行動をすると外に行くんだ…とか。

桂:手の差し出し方で、ケージに入れられるのがわかるようで、脱兎のごとく逃げるんですよ(笑)。でも、朝はリードを持って手を出すと、散歩に行くのがわかるんですね。喜んで寄ってきます。

勝俣:本当に良くわかりますね。犬は賢いですから、人間の言葉は話せなくても、鳴き声を変えてアピールしますよね。先生のワンちゃんも、これからいろいろなことを覚えて、コミュニケーションしてきますよ。一緒にやってみたいことはあるんですか?

桂:家で一緒に穏やかに暮らすだけで大きな喜びですね。離れていると寂しいと感じますし。寝る頃になると、いつも布団の中にもぐってくるんですよ。今は暑いので、ベッドの下の涼しいところで寝ていますが、どきどきベッドに上がってきたり、枕元で寝ていたりするので可愛くて。犬のおかげで生活は変わりました。一度、関節を悪くしまして、車いすに乗っていた時期も。リハビリをして歩けるようになった途端に新型コロナウィルスが広がってしまいました。STAY HOMEと言われますが、家にいて運動するのもなかなか難しくて。でも、朝の散歩だけは必ずします。それは犬がいるからですね。

勝俣:それは良きパートナーができて何よりでした!

桂:主人も亡くなり、子供もいませんから、犬はまさに家族の一員という感じです。いたずらをされて困ることはもちろんありますけれど(笑)、やはり幸せをもらうことの方が多い。コンテストの話に戻りますが、衣装と犬との一体感、似合うかどうかという外見的な要素のほかに、犬と飼い主の様子を見て、一緒にいることで互いに心が安らいでいるか、観客も幸せを分けてもらえるか、そんなところもファッションアワードの審査ポイントにしたいと思っています。

勝俣:飼い主が心から大切に思っているかどうかは、見ていてわかりますからね。コロナ自粛の間に、ペットを飼う人が増えています。譲渡で保護犬や保護猫を引き取ることで、人間同士にはない安らぎや癒しを求める方もいらっしゃって。でも、動物は言葉が話せませんから、なおさら我々が愛情込めて世話をしないといけない。人間の勝手で飼っているのだから、最後まで面倒見るのは当たり前の話。自粛生活が終わり、人が外に出始めたときに、ペットを捨てる人がないようにしたい。私たちペット業界の役割は、そういう不幸をなくすために、ペットと暮らす楽しみを提供することなんです。アニマルワールドカップにはそんな思いも込められています。

桂:世界中が同じ禍に見舞われ、自粛を強いられ、慎重に暮らさなければならない時代が来るなんて、誰も予測していなかったこと。こんな時代に人が幸せを感じられるとしたら、それは心の拠り所があるから。一番身近なのは家族ですよね。私のように仕事一筋に生きている者には、犬やペットが救いになってくれます。

勝俣:家族の一員として暮らすペットを通して心が豊かになれば、自分のペット以外の生き物、植物、隣人をも大切にできるのではないか、もっと幸せに暮らせるのではないかと思っています。実はこのイベントは、そんな目標を掲げた社会貢献事業なんです。実は、ペットを飼っている方は健康寿命が女性だと3年も伸びるということがわかっています。

桂:そうですか!

勝俣:医療費が42兆円だとされていますが、平均寿命と健康寿命の間には17歳もの差があるそうです。健康寿命が延びるだけで、医療費は2~3兆円で済むようになるという試算もある。ペットとの暮らしが健康のためにもなるんです。私たち日本アニマルピック委員会が掲げる理念は、HOPE(希望)です。Health(健康)、One welfare(福祉) Peace(平和) Education(教育)を目指して大会を開催します。先生には大会の意義をご理解くださり、賛同してくださったことに心から感謝しています。

桂:私も来年の開催を楽しみにしています。

桂由美|ブライダルファッションデザイナー
東京都出身。大学卒業後、フランスへ留学しデザイン、クチュール技術を学ぶ。1964年、日本初のブライダルファッションデザイナーとして活動開始。 1999年、東洋人初のイタリアファッション協会正会員となり、2003年からは毎年パリクチュールコレクションに参加。日本のブライダルファッション界の第一人者であり、美しいブライダルシーンの創造者として世界各国30以上の都市でショーを行っている。1993年、国際文化交流への貢献が認められ『外務大臣表彰』受賞。2019年『令和元年度文化庁長官表彰』受賞。2021年4月開催予定の「アニマルワールドカップ2020 in Tokyo」で行われる「アニマルファッションアワード」では特別審査員長に就任。

《牧口じゅん》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top