動物のリアルを伝えるWebメディア

シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生

シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生
  • シマフクロウの生息地保全のため、北海道・日高地域に新しい野鳥保護区が誕生

日本野鳥の会は、現在約160羽ほどしか生息していないシマフクロウ(絶滅危惧IA類)の生息地保全のため、北海道・日高管内の2ヶ所の民有林、合計57.1haを購入した。

同団体では、この保護区を購入するための資金を遺贈した寄付者の名前を冠して、「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1」(1.7ha)「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2」(55.4ha)と名付け、絶滅危惧種の生息地の自然環境を恒久的に保全するとしている。

今回生息地保全を行ったシマフクロウは、河川や湖沼周辺の森林に生息する魚食性の世界最大級のフクロウ。明治期までは北海道内に広く生息していたとされるが、繁殖に必要な直径100cm以上の洞のある大木が森林伐採等により喪失し、餌の魚類が河川改修などにより減少したことで数を減らし、絶滅の危機に瀕している。

現在は、北海道中部から東部にかけて約160羽程度が生息するのみ。多くのつがいが巣箱や給餌など、人為的な支援を受けて繁殖している。生息環境が限られているため、巣立ち後の分散が困難で、近親つがいの形成などの問題も起きているという。

「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第2」と名付けられた森林には、2017年に一つがいのシマフクロウの生息が確認された。この生息地は、日高地域におけるシマフクロウの新たな分散地にあたり、今後の繁殖が期待される重要な森林である。

今回購入した民有林は法的な保護がされておらず、近隣の開発計画にも晒され、シマフクロウの生息が危ぶまれていた。そこで同団体では、会員であった故・小林弘明氏からの遺贈をもとに、立木を含む土地55.4haを購入し、野鳥保護区を設置して保全することにしたという。これにより、同森林で繁殖するシマフクロウの生息地保全が一歩前進する。

また、「小林野鳥保護区シマフクロウ日高第1」と名付けられた森林には、1998年から一つがいのシマフクロウの生息が確認されている。カツラやミズナラ等の巨木が林立する豊かな河畔林が残されているが、その大部分が民有林のため、森林伐採をはじめとする開発の恐れがある地域でもあった。

そこで同団体では、2007年から民有林を購入し、野鳥保護区の設置を開始したが、依然として周辺森林には開発の恐れがあったという。そのため、故・小林氏からの遺贈をもとに、隣接する土地1.7haを追加購入。これにより、同森林で繁殖するシマフクロウの生息中心域の140.6haを一体として保全することができるようになった。

同団体は、2004年より生息地の民有林を買い取って独自の野鳥保護区としているほか、植樹や間伐など森林環境の整備のような長期的な活動と、生簀による給餌や巣箱設置などの当面の絶滅を回避するための保護活動を行っている。

《鈴木まゆこ》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top