6月19・20日の2日間、「Animal World Cup 2021(アニマルワールドカップ2021)」のライブ配信イベントが開催された。同イベントは、ドッグスポーツに出場する犬とハンドラーのペアを国内外から招いて昨年の春に行われる予定だった。新型コロナによる緊急事態宣言によって延期されたイベントは今回、オンラインでのライブ中継と言う形で実施された。
目玉はやはりドッグスポーツ
ペットとの暮らしに役立つ情報も紹介されたが、一番の目玉はやはり「ドッグスポーツ」。犬と飼い主が一緒に行うドッグスポーツとしては、以前REANIMALでも紹介した「フリスビードッグ」(参考記事)がよく知られているだろう。アニマルワールドカップでは、「ドッグパルクール」や「アジリティ」など、それ以外の様々な競技が紹介された。オンライン・ライブイベントの良さは、自宅にいながらそうした多くのコンテンツを生で視聴できるところだろう。
毎日の散歩がスポーツになる「ドッグパルクール」
テレビや映画で人間がビルの屋上から隣のビルに飛び移ったり、街中の障害物を飛び越えたりといったアクションを見たことがあるだろう。あれを「パルクール」と呼ぶ。走る・跳ぶ・登るといった動作を競うこのスポーツは、フランスの軍事訓練から生まれたといわれている。周囲の環境を利用して練習するため、街中・公園・森・岩場など、どこもが練習場になる。
「ドッグパルクール」も、特別な設備や会場は必要なく、生活の中で行うことができる。毎日の散歩コースにある段差や壁、階段やポールなど、あらゆるもので練習ができる。飛び乗ったり、登ったり、飛び越えたり、バランスをとったりなど、飼い主と愛犬が想像を膨らませて自由に行える手軽な遊びとも言える。毎日の散歩がドッグスポーツとなるのが、「ドッグパルクール」だ。
アクロバティックなアクションではなく、スムーズな動作を行うことに重きを置くドッグパルクールは、犬種や年齢を問わない。それぞれのコンディションに合わせ、楽しみながら体力づくりができるのもメリットと言える。都心部でも気軽に出来ることから、「アーバン・アジリティ(Urban Agility = 都会のアジリティ)」とも呼ばれるそうだ。
注意点を守って身体と心の健康向上に
日本で活動を取りまとめている「ジャパン・ドッグ・パルクールクラブ」は、「ドッグパルクールを始めるにあたっての心得」として以下の4点を挙げている。
- 安全を確保し、無理な挑戦をしない
- ハーネスを着用し、リードの扱いに注意する
- ベンチや遊具など人間用の設備は配慮をもって使用する
- 犬の選択を尊重する
生活の中にある色々な物を障害物として利用し、遊びや競技に変えていく手軽なドッグスポーツ。体力の維持はもちろん、個性を伸ばしたりストレス解消につなげたりすることで、問題行動解消にも効果がありそうだ。ジャパン・ドッグ・パルクールクラブは、毎日のトレーニングがアジリティ競技、ドッグダンスといった、その他のドッグスポーツに挑戦する為の準備にもなるとしておりメリットは多い。
アジリティは初心者クラスから世界大会まで競技人口・頭数が多い
「アジリティ」は比較的知られた存在で、名前は聞いたことがあるという愛犬家も多いだろう。ハードルやトンネルなどの障害物が設けられたコースを走り、ゴールまでのタイムを競う競技だ。ハンドラー(一般には飼い主)の指示で指定されたコースを走ることが求められるため、犬の身体能力だけでなくパートナーとのコミュニケーションも重要なスポーツと言える。要するに、飼い主と愛犬が力を合わせる障害物競走だ。
犬と人間の意思疎通が勝利のカギ
世界大会も行われるアジリティだが、レベルに応じて楽しむことができる。誰もが参加しやすいビギナークラスでは、毎回、ハードルとトンネルのみで作られる同じコースが使用される。クラスが上がるにしたがって、シーソー、ドッグウォーク(橋)、スラローム、ロングジャンプなどの障害物が追加される。さらに毎回変わるコースは競技直前に発表されるため、いかにミスなくすべての障害物を超えて速くゴールするように誘導するかも重要となる。ハンドラーによる無駄のない誘導と、愛犬との意思疎通が勝利の鍵を握っているだろう。
アニマルワールドカップでは、ビギナークラスから世界大会までの様子が動画で紹介された。コーギーやトイプードル、柴犬、ダックスフントなどが走る様子は、軽快な身のこなしとともに可愛いらしさに思わず笑みがこぼれた。一方、世界大会出場のボーダーコリーには、その華麗な走りに魅了される。アニマルワールドカップでは、このように幅広いアジリティの魅力に触れることができた。