最高気温が20度を超えた4月9日と10日の週末、代々木公園(東京都渋谷区)で「わんわんカーニバル」が開催された。会場には多くの愛犬家が訪れ、ウルフドッグやアイリッシュ・ソフトコーテッド・ウィートン・テリアなど珍しい犬にも会うことができた。
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愛犬家が集まる代々木公園
新宿と渋谷に挟まれた東京の中心にありながら、代々木公園の敷地面積は54万平方mを超える。桜やモミジ、サザンカ、アジサイなど、四季折々の木々や花で人々の憩いの場所となっている。また、都内最大級のドッグランがあり、愛犬家にも人気の公園だ。体重5kgまでの「超小型犬専用エリア」と12kgまでの「小・中型犬用エリア」、10kg以上の「中・大型犬用エリア」に分けられており、3つのエリア合計では約3620平方mの広さがある。
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恒例のわんわんカーニバル
わんわんカーニバルは、このドッグランの運営管理を担っている「代々木公園ドッグランサポーターズクラブ」が主催している。2020年は新型コロナウイルスの影響で中止されたが、それ以外は毎年開催され多くの愛犬家でにぎわっている。
ケヤキ並木沿いの「わんわんショッピングモール」を中心に、おやつ、ハーネスやリードなどの雑貨、キャリーやカートを扱うショップなど、約70社が出展。また、愛犬の体重を予想する「体重ぴったんこカンカン」や「早食い王選手権」などの参加型イベントも行われた。

動物専門学校の積極的な参加
地元の渋谷でトリマーやドッグトレーナー、動物看護師などの育成を行っている「専門学校ビジョナリーアーツ」が積極的にこのイベントに参画している。看護師をめざす学生による健康チェックや、トレーナーになるために勉強している学生による「お悩み相談」を無料で受けることができた。
「チャリティ爪切り」では、トリマーをめざす学生が教員による指導の下で犬たちの爪切りを実施。料金は無料だが、任意の募金活動が行われていた。集まったお金はNPO法人SPAに全額寄付され、犬と猫の保護と里親探しに役立てられるそうだ。
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指導にあたっていた教員によれば、このイベントには毎年参加しているという。「爪切りは毎回行っていますが、学生の勉強にもなりますので料金はいただいていません」とのことだ。犬のケアだけでなく、トリマーに求められる飼い主とのコミュニケーション力を培う機会にもなっているだろう。
麻布大学による「ペットフレンドリーなコミュニティ調査」
また麻布大学からは「地域社会学研究室」が参加していた。同研究室では、ペットと人間にとって好ましい地域とはどんなものかを研究しているそうで、今回は犬の飼い主へのアンケート調査を実施。スマートフォンで回答する「ペットフレンドリーなコミュニティ調査」を受けての結果が、愛犬と飼い主にとって、さらに住みやすい社会の形成につながることを期待したい。
そのほか、犬猫の保護活動に取り組んでいる「はーとinはーとZR」が里親を探している犬や猫の情報発信を積極的に行っていた。その隣では、東京都福祉保健局がペットとの同行避難や犬の散歩マナー、シニア世帯のペットとの暮らしなどに関するパンフレットを配布していたのも印象的だった。

主催者はこのイベントの狙いを、愛犬家に役立つ情報提供やモラル向上などの啓発活動を行うこと、としている。麻布大学や専門学校ビジョナリーアーツの参加も、「犬との共生の素晴らしさを知っていただきたい」という方針に沿ったものであることが理解できる。一見すると、愛犬家向け物販イベントという印象を受けた。しかしながら、わんわんカーニバルの特徴は、犬との共生に向けたメッセージも含まれているところにありそうだ。