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新コロナウイルスのペットへの感染はあるか? 世界小動物獣医師会がガイドライン発表

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新型コロナウイルス「COVID-19」の感染が世界で広まる中、「世界小動物獣医師会(The World Small Animal Veterinary Association = WSAVA;本部、カナダ・オンタリオ州)」の「WSAVAサイエンティフィック・アンド・ワンヘルス・コミッティー」より、ペット向けのガイドラインが発表された。

コロナウイルスの種類

コロナウイルスには「アルファ」と「ベータ」の2種類があり、一般的に前者は哺乳類に、後者は鳥や魚に感染する。例えば、軽度な下痢を引き起こす場合があるイヌ・コロナウイルス(canine coronavirus)や、猫伝染性腹膜炎(feline infectious peritonitis = FIP)の原因となるネコ・コロナウイルス(feline coronavirus)も、「アルファ」に属する。

新コロナウイルスの出現以前、SARSやMERSなど人間が感染し呼吸器疾患を引き起こすコロナウイルスは6種類が知られていたが、これらすべては「ベータ・コロナウイルス」である。しかしながら、現状では新コロナウイルスがこれらと同様な性質を有するかどうかは未確認であり、継続的な情報収集の必要性がある。

以下は、そうした状況を踏まえ、同コミッティーがカナダのゲルフ大学、Scott Weese教授監修のもとで取りまとめたガイドラインの一部を、当ウェブサイト向けに和訳したものである。

ペットと新型コロナウイルスについて気をつけるべきこと

ペットを含む家畜も「COVID-19」に感染するのか?

現状では、ペットを含む家畜が新型コロナウイルスに感染しうる、または、このコロナウイルスを人間に感染させるというエビデンスは確認されていない。

飼い主が新型コロナウイルスに感染した場合、ペットとの接触は避けるべきか?

ペットとの接触は避ける。ペットを含む動物の「COVID-19」感染による病気の発生はまだ報告されていないが、同ウイルスに関してはまだ分かっていないことも多く、また、動物と人間との間で感染する別のコロナウイルスは存在するため、注意が必要。

ペットが体調を崩した後、そのペットが新型コロナウイルス感染者の近くにいたということが判明した場合はどうすべきか?

まず、獣医師に連絡する。新型コロナウイルス感染者と接触した可能性がある旨、詳細に報告し指示を仰ぐ。医療スタッフと事前に相談せずに、動物病院に連れて行くことは避ける。

ペットが新型コロナウイルスによる疾患のある人間と接触した場合、ペットが人間にウイルスをうつす可能性はあるか?

動物が新型コロナウイルスに感染するか、感染した場合に病気を発症するかどうかは、まだ分かっていない。現状では、動物が新型コロナウイルスに感染するというエビデンスも、新型コロナウイルスを人間にうつすというエビデンスも発見されていない。

新型コロナウイルス感染者と接触した場合、ペットにはどのような影響があると考えられるか?

新型コロナウイルスは動物起源の可能性が考えられているが、現状ではヒト-ヒト感染により拡散している。犬や猫が「COVID-19」に感染するというデータは、今のところ存在しない。

感染が拡大している地域での動物との接触で注意することは何か?

現在のところ、ペットを含む家畜が新型コロナウイルスに感染したという報告はないが、動物と人間の間で感染する(別の)コロナウイルスは存在している。したがって、その様な地域ではできるだけ動物に近づくことを避ける。やむを得ない場合は、マスクを着用する。しかしながら、「COVID-19」の感染が判明した人間は、ペットの汚染防止のためペットには近づくべきでない。

「COVID-19」予防に、現在あるイヌ・コロナウイルス用ワクチンは有効か?

イヌ・コロナウイルス用ワクチンが腸の病気を引き起こすコロナウイルス用に使用されている国もあるが、呼吸器系疾患用には認可されておらず、現段階で新型コロナウイルス用に使用するべきではない。腸内に影響するコロナウイルスと(新コロナウイルスのように)呼吸器に影響を及ぼすコロナウイルスは大きく異なり、現在入手可能なワクチンの犬への接種が「COVID-19」に対して有効であるというエビデンスも存在しない。コロナウイルス感染による犬の呼吸器疾患に有効なワクチンは現在、存在しない。

《石川徹》

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