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【犬がなりやすい病気】外耳炎編…なりやすく繰り返しやすい耳の病気

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どんな病気?

外耳炎とは、鼓膜の外側の耳道に発生する炎症だ。発症に雄雌差はなく、全年齢で起こりやすい病気で、7頭に1頭の犬が外耳炎にかかったことがあると言われている。そのうちの34%が再発しているというデータもある。なりやすい犬種としてあげられるのは、トイプードル、フレンチブルドッグ、ヨークシャーテリアなどのテリア系犬種。

原因は様々でアレルギー疾患、皮膚角化異常や耳ダニ等の主因によるものや細菌感染、常在菌であるマラセチアの増殖と言った二次的な要因もある。細菌やマラセチア、寄生虫(主に耳ダニ)と言った病原菌は単独で外耳炎を起こすことは少なく、耳が垂れた犬種であったり、高温多湿な環境、耳道内の被毛やシャンプー時の水の侵入、過度な耳掃除などの促進因子によって症状が出ることが多い。

症状としては後ろ足で耳を掻いたり、地面に擦り付けたり、頭を振ったりする痒みがあるときの行動をしたり、耳垢が増えたり、臭いがキツくなったりする。外耳炎が重度になり中耳炎に移行すると首を傾ける斜頸(しゃけい)という症状が出ることもある。

また、症状が何度も繰り返したりすることも多い病気でもある。それは持続因子といわれる要因による。例えば鼓膜が破れたり、耳道の皮膚が厚くなってしまったり、耳垢や皮脂を分泌する腺が増殖したりすることで、難治性の外耳炎に移行してしまう。そこまで重度になる前に動物病院に連れて行ってあげるべきだ。

かかってしまったら…

まずは動物病院に連れて行き、耳の中を覗く器具で耳道内の炎症や耳垢の存在、鼓膜の損傷の有無を確認してもらう。そして、耳垢を顕微鏡で確認し病原菌(細菌、真菌、寄生虫)がいないかを確認してもらうのだ。あまりに繰り返す場合は耳垢の培養検査を出して適切な抗生剤を選ぶこともある。診断自体は愛犬に比較的ストレスはかけずに簡単に行うことができる。

治療としてはまず、耳垢を除去することが先決である。耳垢が多量に存在していると病原菌の増殖を助長することや耳道の炎症の悪化、動物自身の痒みや不快感につながり、点耳薬を入れても十分に浸透できないので効果が得られないのだ。

また、過度な耳掃除は前述したように外耳炎の悪化にもつながるので耳垢の除去は耳洗浄と言って耳の中に洗浄液を入れて行うのが1番いいと言われている。そのようにして耳の中をきれいにした上で、適切な点耳薬を使用する。ダニなどの寄生虫がいた場合は駆虫薬の全身投与が必要になったりマラセチアがあまりに過剰な場合は抗真菌薬の全身投与が必要になる場合があり、点耳薬に加えて内服も併用することがある。軽度な場合は点耳薬のみで良くなることも多く、最近は長期間作用が持続する点耳薬も出ているので自宅での投薬が必要ないこともある。

予防法は?

1番は耳の中を清潔に保つこと。耳洗浄を自宅で行うのは難しいかと思うが、可能であれば正しいお手入れ方法を実践していくことが大切。難しい場合は動物病院に定期的に通い、耳の毛を抜いたり、耳洗浄を行ってもらうと良いだろう。また、日頃からのこまめな耳の観察も重要だ。外耳炎になると耳垢の量や色、耳の臭いに変化が出ることが多いので、異常がみられた場合は早めにかかりつけの動物病院に通院することをおすすめする。

また、片耳だけ外耳炎を起こしている場合は反対側も起こす可能性が高いので注意深く観察してほしい。治療が遅れることで促進因子や持続因子をたくさん持ってしまい中耳炎に移行すると、最悪の場合は耳道切除と言って手術により炎症部を取り除くことになる可能性もある侮れない病気である。その場合は聴覚を失ってしまうので注意が必要だ。

また、あまりに何度も繰り返す場合は食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患や甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌系の疾患が隠れている場合もあるので、全身疾患の検査をすることをおすすめしたい。

《M.M》

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