動物のリアルを伝えるWebメディア

イギリスの動物愛護事情 vol.1…ペット取引の驚くべき「ダークサイド」

REANIMALでは以前、今年の4月にイギリスで施行された「ルーシー法」を紹介した。そのイギリスの動物愛護事情、特に子犬・子猫の販売について2回にわたって紹介する。

福祉・教育
イメージ
  • イメージ
  • イメージ
  • イメージ
  • イギリス政府の「Get Your Pets Dafely」キャンペーン
REANIMALでは以前、今年の4月にイギリスで施行された「ルーシー法」を紹介した(記事はこちら)。そのイギリスの動物愛護事情、特に子犬・子猫の販売について2回にわたって紹介する。

4月6日以降、イングランドおよびウェールズでは生後6か月未満の子犬・子猫をブリーダー以外の「第三者」(仲介業者やペットショップなど)が販売することが禁止された。さらにブリーダーは、販売する子犬や子猫を母親や兄弟と共に、実際の飼育施設で直接顧客に見せる義務を負う。

同法の一番の目的は、「パピーファーム(直訳:子犬農場;アメリカではパピーミル=子犬工場と呼ばれる)」などの劣悪な環境で行われている飼育・繁殖をなくすことである。日本では一般的に動物福祉の先進国といった印象の強いイギリスだが、まだ課題も多いようだ。パピーファームから子犬を仕入れて違法に販売する悪質な仲介業者をなくすため、数年かけて成立・施行に至ったのがルーシー法である。

政府主導の啓蒙活動


現在イギリス政府は「ゲット・ユア・ペット・セーフリー(= ペットを安全に迎えよう)」というキャンペーンを行っている。SNSなどでプロフィールを偽って異性に近づくことを、英語で「キャット・フィッシング(Catfishing)」と呼ぶそうだ。それになぞらえて、悪意ある動物販売業者のインターネット情報による「ペット・フィッシング(Petfishing)」の罠にかからないようウェブサイトなどで警告している。

イギリスでもインターネットで子犬や子猫を探すケースが多いようだが、「お金のために動物を不適切に扱う、想像以上に悪質な業者」が存在することを認識すべきだとしている。そうした業者が扱う動物は健康面や精神面での問題を抱えている傾向があり、飼い主は経済的・精神的な負担を強いられるリスクがある。

イギリス政府の「Get Your Pets Dafely」キャンペーン

需要が無ければ供給も無くなる


また、そのような業者から購入することは、間接的にそうした業界の生き残りに加担していることにもなると警鐘を鳴らしている。飼い主側にも、業者を慎重に見極める意識と努力を求めている。確かに、需要がなければビジネスは成り立たず供給もなくなるわけで、パピーファームや悪質な販売業者の撲滅につながる。

ペット取引の「ダークサイド(闇の側面)」


このウェブサイトでは「ペット取引のダークサイド」として、衝撃的な実例も紹介されている。迎えた子猫が4~5日後にひどい下痢と下血の症状を見せたため動物病院を受診したところ、子猫は(法律で定められた8週齢ではなく)まだ生後4週間程度であることが判明。治療の甲斐なく、この子猫は12日後に死亡したそうだ。

別のケースでは、組織的な違法行為が発覚した。人気のあるペット紹介サイトで知った家庭(個人ブリーダー)から迎えた子犬が直後に体調を崩した。ブリーダーに何度もコンタクトしたが、まったく連絡がつかなくなったという。

おかしいと感じた飼い主が動物保護団体に連絡したところ、調査の結果パピーファーム業者であることが判明した。尿の臭いにまみれた犬たちはすべて肢や胸などにキズを負っており、被毛の長い犬種は毛玉だらけの状態だったという。その業者は、5年間で実に数百万ポンド(およそ数億円)を売り上げていたとしている。

この例のように、イギリスでは悪質な業者が「両親と子ども役」を集め、短期契約で家やマンションを借りて家族経営のブリーダーを装うといった手口があるそうだ。販売される子犬や子猫は、パピーファームから仕入れられる。一部では、偽装「パスポート(登録証)」で東ヨーロッパなどから密輸されることもあるようだ。

そうした場合、健康面などに大きな問題が出なければ、それに気づかない飼い主も多いという。ルーシー法施行後は、より手口が巧妙になることも懸念されている。次回は、そうした状況の防止に向けて活動する保護団体について紹介したい。
《石川徹》

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top