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【僕と愛犬の癌闘病記 vol.7】憎き癌への抵抗、ネットで見つけた明るい材料

パピヨンのルナ
  • パピヨンのルナ

ご飯を美味しそうに食べてくれる姿に癒やされながら、“高いけど買って良かった”と自己満足に浸る日々…。しかし、癌の進行が止まることはありません。一日一日を大切に過ごしつつ、ルナとの生活は新たな局面を迎えました。

健気な姿に涙しそうな飼い主

足を引きずり始めてからも無理のない程度に散歩へ連れて行っていましたが、その症状は日に日に重くなっていきました。排尿するカテーテルを入れてからも自分でトイレへ行って用を足すことができたのですが、足の具合が悪くなるにつれてトイレが間に合わず途中でしてしまうことが多くなっていきました。そのたびにこっちを見て「ごめんなさい」とでも言いたげに悲しそうな顔をして見つめてくるのです。

こちらとしては全然気にせず掃除をするのですが、何度も続くとこっちが申し訳なくなってきます。普段ルナが過ごす場所の近くにトイレを持って行ったりして対応していたものの、いよいよ起き上がるのにも時間がかかり始め、間に合わないことの方が多くなりました。そこで犬用のオムツを履かせることに。嫌がることなく受け入れてくれたルナに感心しながらオムツ生活がスタートしました。

オムツを履いても用を足す体勢を取るので、するたびに交換。素直に交換させてくれます。できる限り清潔にと思ってやっていたのですが、股ズレや肌荒れが起き始めたので何か良い方法はないかと調べていると、乳児用のオムツを加工して使っている人の体験談を発見。マネしてみることにしました。

すごく久しぶりに乳児用のオムツを買ったのですがちょっと恥ずかしさも…。でも、ルナのためならそんなことは言っていられません。自宅にあったロータリーカッターを駆使して尻尾部分の加工。切り口をテープで塞いでから履かせてみると思った以上に良い感じ。この日から、毎晩次の日用にオムツを加工することになったのです。犬用と比べても、股のあたりのギャザーが柔らかく、肌触りも大分違います。手間はかかりますが乳児用オムツ加工はおすすめです。

インターネットを駆使して見つけた臨床試験

最後まで自分にできることはやっていこうと決めてから、ずっと生活のことや病気のことを調べていました。そこで見つけたのが東京大学附属病院・動物医療センターで移行上皮癌の治療をしている人のブログです。まだ認可の下りていない治療薬の有効性を調べる、いわゆる“治験”に参加しているワンちゃんの話でした。

人間の治験は話に聞いたことがありましたが、動物の治療薬でもそういう段階があるんだなと知ったことで詳しく調べていきました。この移行上皮癌の治験には色々な条件が設けられていたのですが、主に「抗がん剤治療を行っていないこと」というものがあります。治験を行っている先生の論文や、この臨床試験の内容を読んでいくと抗がん剤治療を選択しなかったルナにも有効なんじゃないか? と思えてきたのです。

担当してくれた先生のインタビューは《こちら》

この東京大学附属病院・動物医療センターは紹介状がないと診察できないので、さっそくかかりつけ病院に連絡を取って担当の先生に相談しました。治療内容や条件などが書いてあるページをプリントアウトして、「少しでも一緒にいられる時間が延びる可能性があるなら参加したいです」、と。先生からは治験の危険性も説明され、それでも参加するのなら手配しますと言われました。この日は日曜日だったので翌日に東京大学附属病院・動物医療センターと連絡を取って、伝えてあった日程で予約までしてくれました。

東大附属病院・動物医療センターへ初来院

そして予約した日。東京大学附属病院・動物医療センターは正しく“東京大学”の一角にありました。こんなことがなければ一生縁のなかった場所なので、すごく緊張したことを覚えています。受付を済ませ、待合室でルナの様子を見つつ過ごしていると診察室に呼ばれます。

今回の治験について研究をしている前田真吾先生が直接説明をしてくれ、治験の内容や考えられる効果や副作用など、良い部分も悪い部分もしっかりと説明してくれました。この治験薬の効果としては、癌の原発巣を直接叩くことが期待でき、腫瘍が大きくならない、縮小、消滅までも可能性があるとのことで。副作用も出たとしても対応できる内容が多いため、東京大学附属動物医療センターとかかりつけ病院が連携して行うという点も安心できます。

最初の検査費用は実費負担になりますが、治験薬費用と月に1回の検査費用はかからないとのこと。3ヶ月間はその条件で、それ以降は治験薬費用のみ自己負担になるそうです。その場で前田先生に治験参加を伝え、是非とも自己負担で治験薬を使えるようにお願いしました。少しでも長く生きてくれれば、と強く願います。

午前中に来院して、最初の検査が完了したのは20時を回っていました。続きはまた次回にお伝えします。

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《藤澤純一》

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