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【僕と愛犬の癌闘病記 vol.5】後悔を拭い去る、“これから”の終活が始まる

愛犬のルナ
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愛犬ルナが進行の早い移行上皮癌との診察を受けて「終活が始まる」という事実が突きつけられました。これまでの生活に後悔は多々あれど、今現在を後悔しないようにする生活が始まります。

悲しみは当然…今、生きることを真剣に考える

移行上皮癌、長くても1年もつかもたないかという診断を受け、今後の治療方針について説明がありました。1つは病巣の縮小・消滅を目指す抗がん剤治療、もう1つは痛みを最大限に緩和してQOLの高い生活を出来る限り維持する緩和療法でした。

癌の初期段階であれば抗がん剤治療の効果は大きい可能性はあるけれど、ルナはかなり進行している状態なので効果があるのかどうか、生存期間が延びるのかどうかは分からない。そして、やはり抗がん剤治療には人間同様に副作用が出る可能性が高く、飼い主としての覚悟が必要です、と説明を受けました。

緩和療法に関しては基本的に痛み止めの様な薬で痛みを伴う症状を和らげてくれるので、ギリギリまでQOLを保てる可能性は高いとのこと。飼い主としての義務ではありますが、命の選択をしているようで非常に悩みました。

コロナ禍だからこそ決断できた+αの対処

診察室で話を聞きながら悩んでいるさなか、もう1つ先生からの提案がありました。それは原発巣が尿道出口付近にあり、腫瘍が大きくなれば自力排尿が出来なくなる可能性が高くなるので、膀胱に直接カテーテルを装着してお腹からそれを通して排尿できるようにすることでした。自力排尿が出来なくなって一番怖いのが尿毒症という症状で、早いときには数時間で死に至るそうです。それを防ぐ為に朝・昼・晩とカテーテルから排尿させるための手術とのこと。

新型コロナウイルス感染症が広がっていて、外出自粛な雰囲気と仕事的にも基本リモートワークということもあり、ルナと過ごす時間は格段に増えていたので悩まずその手術をお願いしました。翌日に手術出来るとのことなので、治療方針についても手術前までに決めることで話がまとまり、一旦ルナを連れて自宅へ帰ることにしました。

運転している間はルナとの思い出が頭を駆け巡り、もっとこうしておけば良かったなぁと後悔がよぎります。しかしその後悔も一巡した後は、これからの終活をどれだけ充実させるかを真剣に考え始めたのです。過ごせる時間が増えている今、いつまでかは分からない残りの時間をどれだけ有意義にルナと楽しく過ごせるか、その考えに至ったときに今後の治療方針が決まったのだと思います。選んだのは緩和療法。最後の最後までルナと元気に? 楽しく過ごす事を目指すことにしたのです。

何が出来るのかは分からない、でも目の前の出来ることを実行する

翌日のカテーテル手術時に今後の治療方針について先生に話し、緩和療法で進めていくことを決定。手術自体は無事に終わり、2泊の入院でルナは自宅へ戻ってきました。

そこからルナを甘やかす生活が始まります。まずはリビングで寝ていたルナを寝室へ連れて行って一緒に寝ようとしてみたのですが、数日経っても慣れないようなので、リビングに隣接している部屋に寝る場所を変更してみると、ルナも納得したのか横にくっついて寝るようになりました。

毎日薬を飲ませ、カテーテルからの排尿も嫌がらずに作業させてくれ、飼い主としては特別手が掛かることなく過ごす日々。基本的には元気なので朝・晩と散歩を一緒に楽しみます。もっと一緒に出かけたかったなという思いから近所のドッグカフェを探してランチしたり、少し足を伸ばして海に行ったりと今までしてこなかった後悔を少しでも払拭するように過ごしていました。

そして癌である以上、楽しい日々は続かないのです。元気そうに見えるルナですが、病魔は確実に体を蝕んでいくのでした。

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《藤澤純一》

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