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【猫がなりやすい病気】膵炎編…症状は非特異的、慢性化や糖尿病の併発に注意

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どんな病気?

膵炎とは読んで字の如く膵臓の炎症である。膵臓はトリプシンなどの消化酵素を十二指腸に分泌している消化器の一つ。正常な状態では、消化酵素は膵臓内で不活性な状態で存在し、腸内に分泌されてから活性化するが、何らかの原因により膵臓内で活性化されてしまい、膵臓自体を消化してしまうことで膵臓に炎症が生じるのが膵炎だ。

病態としては人の膵炎と同じと考えられているが、不明な点は多い。また、猫の場合は腸炎や胆管炎と関連して膵炎が起こることも知られていて三臓器炎と呼ばれている。猫の膵炎の診断は難しく、症状も非特異的である。嘔吐、腹部疼痛、下痢などの症状が常にあるわけではなく、活動性の低下や食欲不振だけのこともあるので診断が難しい。血液検査では、白血球数の増加や炎症の数値であるSAAの上昇が見られることがある。また、肝酵素の上昇や肝外胆汁鬱滞によるビリルビンの上昇が見られることもある。エコー上は膵臓が黒く見えたり、腫大したり、膵管の拡張や膵は嚢胞が見られることもある。膵炎はこれらを総合的に評価することと、他の疾患を除外することで診断される。

膵炎が慢性化してしまい慢性膵炎となることも多く、その場合は診断がなおさら困難になる。細胞診や病理組織検査で診断がつくこともあるが、細胞診は病変部をうまく検出できないこともあり、感度が低いのがデメリット。ただし麻酔はなしで行うことができる。病理組織検査は感度は上がるものの、全身麻酔下で開腹しての検査になるのであまり積極的には行われていない。そこまでの検査をして診断をつけると言うよりは、除外診断によって治療反応を見ながら診断的治療を行っていくのが通常である。

かかってしまったら?

猫の膵炎の治療ははっきりとした治療法は見つかっていないので、対症療法を行っていくことがほとんどである。治療の基本は、静脈点滴による輸液、制吐剤、栄養療法、疼痛管理になる。輸液は、膵臓を含む全身の循環を維持、改善することを目的としている。食べられないことや、下痢や嘔吐による脱水が見られることも多いので大切な治療である。制吐剤は嘔吐が認められているときはもちろんのこと、認められていない時も膵炎が疑われる時は入れておくべき薬だ。

栄養療法は非常に重要であるので、早期に始めていくべきである。特に猫では、食欲の低下が全身的な状態を悪化させて、慢性的な炎症を助長するだけでなく、肝リピドーシスと呼ばれる脂肪肝の状態に陥ることがあるので特に太った猫では注意が必要。食欲のない猫には強制給餌という形で、直接口に食事を入れる方法が最もよく使われるが、どうしても嫌がってしまい口からの食べ物の摂取ができない場合は鼻にカテーテルを設置して経鼻的に食事をいれることもある。これは麻酔なしで比較的簡単に設置することができる。疼痛管理に関しては、猫の痛みの評価はかなり難しい所である。しかし一般的に人の膵炎と同様にかなりの腹部痛があると考えられるので、鎮痛薬を使用する。

合併症として、糖尿病、すい膿疱、胆管炎が多いので疑われる場合は並行して治療していく必要がある。特に糖尿病と膵炎が併発している場合は、膵炎の悪化により血糖値のコントロールがうまくいかなくなるので注意が必要。一般的に他の疾患の併発がなく、貧血や腎障害、黄疸のない症例に関しては予後は良いとされている。ただ再発を繰り返すことが多い疾患なので、治療終了後も注意してほしい。

予防法は?

日頃から肥満や偏食にならないように注意をすることが大切である。猫の慢性膵炎は症状があいまいであるため、気がつかずに進行していることが多い。高齢の猫では定期的な健康診断を受けて慢性膵炎を疑う症状があれば早期に診断し、治療をしていくことが重要。また糖尿病を併発するとかなり治療が煩雑になるため、日頃から糖尿病にならないような食生活を心がけることが大切だ。

《M.M》

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