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犬の避妊・去勢手術に関する最新の発表 vol.2…犬種ごとの傾向 プードル、チワワ編

チワワ(イメージ)
  • チワワ(イメージ)
  • ボストンテリア(イメージ)
  • コッカースパニエル(イメージ)
  • トイプードル(イメージ)
  • ミニチュアプードル(イメージ)
  • チワワ(イメージ)

前回は、カリフォルニア大学デービス校が発表した避妊去勢手術と(以下、手術)と関節疾患およびがんの発生リスクの関係に関する概要を紹介した。

今回からは35犬種*について行われたその調査結果に基づき、特徴的な傾向を示した犬種と日本でも飼育頭数の多いものについて紹介する。なお、飼育頭数については、アニコム保険が発表した「人気犬種ランキング2020」などを参照した。

概要:犬種ごとに異なる手術の影響

手術と関節疾患やがんのリスクは、犬種および性別ごとに様々であったとしている。愛犬の長期的な健康を考えた場合、同大学が発表した「ガイドライン」を参照しながら獣医師と飼い主がケースバイケースで判断することを勧めている。手術をするかしないか、そして、いつするかに関しては全犬種に当てはまる絶対的な正解はないというのが結論である。

例えばボストンテリアのメスの場合、タイミングに関わらず手術は関節疾患とがんのリスクには影響を与えないと考えられるそうだ。一方で、オスの場合は1歳未満での手術によってがんの発生率が非常に高くなる傾向が見られた。コッカ―スパニエルの場合は逆で、生後6か月未満での去勢手術(オス)は関節疾患とがんの発生に影響を与えない一方、2歳前の避妊手術(メス)でがん発症の割合が17%と大幅に上がる傾向が現れた。

また小型犬種(キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、チワワ、コーギー、ダックスフント、マルチーズ、ポメラニアン、トイプードル、パグ、ヨークシャーテリア)の場合は避妊去勢手術の有無にかかわらず関節疾患の発生はゼロに近かった。がんの発症率も同様だが、前述のボストンテリアおよびシーズーの2犬種に限ってはがん発症率の大幅な上昇が見られたという。

以下、犬種ごとの特徴を3回にわたって紹介する(論文の抜粋を筆者が和訳)。初回は、日本で長年飼育頭数のトップにあるトイプードルを含めたプードル3種とチワワについて。

トイプードル

関節疾患とがんの発生に、手術の有無およびそのタイミングによる目立った差は見られなかった。

詳細:サンプル数は238頭(未去勢のオス49、去勢済みのオス53、未避妊のメス58、避妊済のメス78)。未去勢のオスの4%に1つ以上の関節疾患が、2%にがんの発生が見られたが、未避妊のメスではどちらも症例がなかった。手術済みのオス・メスともに、関節疾患およびがんの明らかな増加は確認されなかった。未避妊のメスで乳がんの発生は1例のみで、子宮蓄膿症の症例はなかった。避妊済のメスで尿失禁の症状を見せた個体はいなかった。

トイプードル(イメージ)

ミニチュアプードル

関節疾患のリスク増を避けるため、去勢手術は1歳まで待つのが安心と言える。メスの場合、手術による顕著なリスク増加は見られなかった。

詳細:サンプル数は199頭(未去勢のオス41、去勢済みのオス60、未避妊のメス30、避妊済のメス69)。手術を受けていないオス・メスともに関節疾患は見られなかったが、生後6ヶ月から1歳未満で去勢手術を受けたオスのうち9%が前十字靭帯断裂に関連する疾患を発症している。一方、メスには関節疾患は見られなかった。

未去勢のオスの5%にがんの発生が見られたが、手術とがんの発生に関係性は見られなかった。乳がんを発症したのは、2歳以降に避妊手術を行ったメス1頭のみであった。子宮蓄膿症は未避妊のメスの6%に見られた。尿失禁と診断されたのは6歳未満で手術を受けた1頭のみであった。

スタンダードプードル

1歳で去勢手術を行った場合にがんの発症が多く見られたため、2歳まで待つことが安心と考えられる。メスの場合、手術による顕著なリスク増加は見られなかった。

詳細:サンプル数は275頭(未去勢のオス47、去勢済みのオス88、未避妊のメス53、避妊済のメス87)。手術を受けていないオス・メスとも、2%に関節疾患が見られた。生後6ヶ月未満で去勢手術を受けたオスのうち8%が関節疾患を発症したが、統計分析上は大きな増加ではないとされている。一方、メスには関節疾患が見られなかった。

がんの発生は未去勢のオスの4%、未避妊のメスの2%に見られたが、メスの場合は手術による発症率に変化はなかった。一方で、1歳で手術を受けたオスの27%がリンパ腫を発症している。未避妊のメスの4%が乳がんを、2%が子宮蓄膿症を発症した。2歳以降で手術を受けたメス1頭が尿失禁と診断された。

チワワ

トイプードル同様、関節疾患とがんの発生に手術の有無およびそのタイミングによる目立った差は見られなかった。

詳細:サンプル数は1037頭(未去勢のオス261、去勢済みのオス189、未避妊のメス298、避妊済みのメス289)。4つのグループ間で、関節疾患およびがんの発生に目立った差は見られなかった。未避妊のメスの1%、生後2か月から8か月の間に手術を受けたメスの4%が乳がんを発症した。子宮蓄膿症は未避妊のメスの2%に見られた

チワワ(イメージ)

次回は、手術によって病気の発生リスクが大幅に上がる可能性が指摘されているものの中で、日本でも比較的知られている犬種をいくつか紹介する。

* 35犬種:ゴールデンレトリーバー、ラブラドールレトリーバー、ジャーマンシェパード、プードル(3種:スタンダード、ミニチュア、トイ)、オーストラリアンキャトルドッグ、オーストラリアンシェパード、ビーグル、バーニーズマウンテンドッグ、ボーダーコリー、ボストンテリア、ボクサー、ブルドッグ、キャバリアキングチャールズスパニエル、チワワ、コッカースパニエル、コリー、コーギー(ペンブロークとカーディガン合算)、ダックスフント、ドーベルマンピンシャー、イングリッシュスプリンガースパニエル、グレートデーン、アイリッシュウルフハウンド、ジャックラッセルテリア、マルチーズ、ミニチュアシュナウザー、ポメラニアン、パグ、ロットワイラー、セントバーナード、シェットランドシープドッグ、シーズー、ウエストハイランドホワイトテリア、ヨークシャーテリア

《石川徹》

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