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【動物園のわんこ】ズーラシアのヤブイヌ…胴長短足、走っているだけで愛くるしい

よこはま動物園ズーラシアのヤブイヌ
  • よこはま動物園ズーラシアのヤブイヌ
  • じゃれ合うフキとスマイラー
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  • 池で遊ぶスマイラー。ヤブイヌは泳ぎも得意
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  • ずんぐりがかわいいスマイラー

動物園の花形といえばゾウやキリン、パンダといったところだろう。これらの「鉄板」動物も見ていて飽きないが、ピンポイント狙いの動物園もなかなか楽しい。筆者がおすすめしたいのは、イヌ科、ネコ科の動物だ。

見た目は身近なペットのようで親近感が持てるものの、大きさや風貌から放たれる威圧感がカッコよくもある。それでいて、飼っているわんこ、にゃんこと同じようなしぐさをみせたりと、見ているだけで癒される。チーターやヒョウ、オオカミやキツネといった動物がいる中、今回紹介するのは「ヤブイヌ」だ。

ヤブイヌは、アマゾンの森林地帯に生息する食肉目(ネコ目)イヌ科ヤブイヌ属の動物。英語名は「Bushdog」で文字通り「藪の犬と」いうことだ。胴長短足は、巣穴や密林の藪の中の移動に適しているのだが、走っているだけで愛くるしい。しかし、胴長は密林での方向転換がしにくいのか、ヤブイヌは外敵などに出くわすと、バックでそのまま来た道を引き返せる(ビデオの逆再生のように逃げる)という。

他にもメスのおしっこは逆立ちでする、泳ぎが得意といった特徴も有名だ。多くのイヌ科の動物と同様に、群れは核家族(ペアとその子供)が基本で、非常に仲がいい。風貌は獰猛に見えないが、群れの狩りでは自分達より大きいカピバラや堅いウロコを持つアルマジロを捕食することもある。小型のげっ歯類などは、水中まで追い込み捕らえることもできる。

取材したよこはま動物園ズーラシア(神奈川県)では、10年ほど前は10頭ほどのファミリーが生活しており賑やかだったのだが、埼玉県こども動物自然公園など他の動物園に譲渡するなどした結果、現在5頭のヤブイヌを飼育している。展示個体は2頭で、これから繁殖を目指すそうだ。ズーラシアは開園当初から種の保存事業に参画し、絶滅危惧種の保全・繁殖に取り組んでいる。ヤブイヌは準絶滅危惧種(NT)に分類されている。

展示個体の2頭はオスの「フキ」とメスの「スマイラー」。見ていると2頭はとても仲がよく、撮影中はほとんど一緒に行動していた。時折じゃれあう姿も見せてくれる。夜は巣箱が2つあるにもかかわらずいつも一緒になって寝ているそうだ。フキはズーラシア生まれで肩のあたりが白っぽいのが特徴。スマイラーはすこしぽっちゃり体系のヤブイヌ。イギリスで生まれた個体だそうだ。スマイラーは名前の通り時々笑顔に見えることがある。

ヤブイヌを見ていて飽きないのは、コミカルな動きに加え、群れや家族の仲の良さだが、ズーラシアのような生息環境展示だと、本当によく動く。真夏の炎天下でなければ、歩き回る姿を普通に見られるのがうれしい。ただ、動きが速いので写真撮影はなかなか難しい。

現在、国内でヤブイヌが見られる動物園は以下のとおりだ。

よこはま動物園ズーラシア(神奈川県横浜市)
埼玉県こども動物自然公園(埼玉県東松山市)
東山動植物園(愛知県名古屋市)
京都市動物園(京都府京都市)
神戸どうぶつ王国(兵庫県神戸市)
平川動物公園(鹿児島県鹿児島市)

なお、展示は動物の体調等によるので、目当ての動物が展示されているかどうかは下調べしておくとよいだろう。取材したズーラシアは、新型コロナウイルス対策で、現在入園はホームページからの予約制となっている。

《中尾真二》

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