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【ズボラ女子とわがままウサギ vol.3】共同生活の中で“けだま”が教えてくれたこと

ホーランドロップイヤーの「けだま」
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分からないことだらけの中でスタートした「けだま」との生活ですが、ウサギは基本的には手間がかからないので、普段必要なことと言えば、ゲージや生活空間の掃除とエサの補充や交換、グルーミングに爪切りぐらい。どんなペットを飼ったとしても、最低限必要なことだけです。

自分の気持ちはキチンと伝えてくれる

私が「けだま」と暮らし始めて一番驚いたのは、ウサギは自己主張が強く、感情表現が豊かだということでした。

ウサギは、自然界では弱肉強食のピラミッドの一番下、「弱」に分類される生き物です。そのため、おとなしくて臆病な動物というイメージを持っている人も多のではないでしょうか? ウサギを飼っている人の中には、「ウサギは懐かない」と言う人も時々いるほど警戒心が強い生き物です。

しかし、私が一緒に暮らしてきた愛ウサギの初代である「けだま」も、2代目の「まー様(けまり)」も、慣れてくると、嫌な時は「嫌」、嬉しい時は「嬉しい」、寂しい時は「寂しい」と、キチンと全身で伝えてくれます。

ウサギには声帯がないので、犬や猫のように鳴き方で何かを訴えることはできませんが、構ってほしい時には私の体を鼻でツンツンつついたり、手でガリガリとアピールしてみたり、キチンと意思を伝えてくれるだけでなく、美味しいものを食べた時は、渾身のジャンプでその嬉しさを表現してくれたりと、様々な表情を見せてくれるのです。

勝手にゲージの掃除をされたことが気に入らなくて、仕返しに噛みつきに来ることもしばしば(笑)。トイレをひっくり返して、不快な気持ちをアピールしたりもしてくれます。

そしてもちろん、1匹1匹の性格も全く違い、うちの場合は、のんびり屋の「けだま」と、ワガママで甘えん坊な「まー様」というイメージです。

お風呂は汚れがひどい時だけ

ウサギを飼う上で意外だったのは、ウサギはお風呂に入れてはいけないという点でした。と言っても、お風呂自体がNGという訳ではなく、あまり体を濡らさない方がいいそうです。理由は、ウサギには汗腺がないため温度調節が苦手で、濡れた毛はキチンと乾かさないと体調を崩してしまうとのことでした。

長年「けだま」や「まー様」と暮らしてきましたが、そもそもウサギはきれい好きな上に無臭なので、お風呂に入れる必要性を感じることはあまりありません。公園に散歩に連れて行った後などは、足の裏をぬれタオルで拭いてあげる程度で十分清潔感は保てます。

ただ1点、気をつけてあげて欲しいのは、体調が悪い時。普段は無臭なウサギですが、「なんだかウンチのような臭いがするぞ」と感じたら、軟便がお尻やお腹の周りの毛に絡みついてしまっていることがあるので、すぐにお尻周りを確認し、すぐに病院へ連れていってください。軟便は、ウサギの命に関わる症状です。

「けだま」が教えてくれた、片づけることの大切さ

ペットショップの店員さんや病院の先生を質問攻めにしながら、「けだま」にとっての快適な環境を作り上げて行った私でしたが、1つだけ専門家のアドバイスを守らなかったことがあります。

それは、「けだま」の行動範囲についてでした。ペットショップや病院でアドバイスされる一般的なウサギの飼い方は、普段はゲージの中で生活させて行動範囲を制限し、部屋の中にサークルを作り、時間を決めてそのサークル内で散歩をさせるというものです。

しかし、そうなると、一人暮らしの上に家に帰る時間も不定期な私と暮らすことになった「けだま」は、1日のほとんどの時間を狭いゲージの中で、一人で過ごすことになってしまいます。

そのため、私が夜遅く帰宅すると、ほとんど自由な時間はありません。

「なんだか、可哀想だな。」

そう感じた私は毎日少しずつ、「けだま」を放し飼いにする実験をスタートすることにしました。まずは、私が家に居る時だけゲージのドアを開けっぱなしにしてみるところから始めます。

そんな「けだまの放し飼い計画」で一番初めに発覚したのは、ラバーやシリコンをかじるのが大好きという問題でした。例えば、私が寝ている時など、長時間目を離した隙に、スマホの充電コードやリモコンのボタン、シリコン製のスマホケースなどを次々とかじってしまうのです。

そうなると、電化製品が突然使えなくなるだけでなく、感電の恐れがあるほか、「けだま」のお腹の中にかじった異物が溜まってしまうなど、色々な意味で危険です。そこで、まずはスマホの充電コードをラバーではなく、表面が金属製や布製のコードに変えることや、電化製品のコードにプラスチックの保護材を巻くなどの対策を取りました。

そして、いつも適当に放り投げていたTVやエアコンのリモコンを、「けだま」がかじれない場所にキチンと片付けるように習慣付けるなど、部屋の整理整頓をするようになったのです。

他にもふと目を離した隙に、床に落ちていた輪ゴムをパスタのようにちゅるちゅると食べている姿を見つけ、無理矢理口の中に指を突っ込んで噛みつかれながら取り上げるなど、「けだま」と私は日々攻防を繰り広げました。

そうなると私はある日、「けだま」にとって安全な空間を作り上げるには、整理整頓や掃除をすることが重要なことに気付くのです。

ゴミは一応捨てるけど、部屋の掃除は後回し。そんな干物女生活を送っていた私は、「家の中という限られた空間だけでも、けだまと対等な関係でいたい」という思いから、定期的に部屋に掃除機をかけ、整理整頓をするようになっていきました。

先川知香:モータージャーナリストとして、全国各地を駆け回る干物系女子。8年前にウサギの「けだま」と出会い、今は2代目「まー様」と同居中。好きなものは、クルマとバイクと愛ウサギ。

《先川知香》

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