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【ズボラ女子とわがままウサギ vol.12】予想以上に壮絶だった「けまり」の闘病生活と看病疲れ

心臓の肥大と慢性腎不全の兆候が発見され、闘病生活をスタートさせた「けまり」
  • 心臓の肥大と慢性腎不全の兆候が発見され、闘病生活をスタートさせた「けまり」
  • ホーランドロップイヤーのけまり
  • お医者さんにいわれ、2週間分の点滴を持って帰るも…
  • ホーランドロップイヤーのけまり
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心臓の肥大と慢性腎不全の兆候が発見され、闘病生活をスタートさせた「けまり」。その生活は、想像以上に大変なものでした。

原因不明の心肥大

心臓が肥大した理由は、結局最後まで分かりませんでした。とりあえず、肥大した心臓を元の大きさに戻さなければ、十分な呼吸ができないだけでなく、食欲も不安定なままということで、病院の先生から酸素室を作ることを勧められます。

酸素室の作り方は簡単で、ウサギを1匹入れられるような衣装ケースやコンテナのような蓋つきの密閉できる入れ物を用意し、スポーツ選手などがトレーニング中に吸う酸素スプレーをその中に充満させるだけ。苦しそうな呼吸をし始めたらそこに入れて落ち着かせるという治療法でした。

病院で処方してもらった酸素スプレーを使ってみると、噴射時の音がかなり大きかったので、怖がるかな? と心配しましたが、相当苦しかったのか、けまりの場合はスプレーを噴射するとそこに鼻を近づけ、直接吸いに来てくれたので、酸素室は必要ありませんでした。

1度失われた腎臓の機能は戻ることはないという事実

酸素スプレーと同時に始まった、腎臓機能をこれ以上低下させないための治療。大変だったのはこの治療で、「1度失われた腎機能は回復しないので、これからはこれ以上機能を低下させないように保つことが重要になります」と、先生に告げられます。

そして、血液などの循環を良くするために、毎日点滴に通い、血管拡張剤とステロイド剤、利尿剤などの飲み薬を併用して様子を見る日々が続きました。

新たに通い始めた病院は、家から片道1時間ちょっとかかる上に、かなりの人気病院だったので、予約をしても数時間待たされることも度々。けまりにとっても私自身にも、かなり負担がかかる状況となります。

それでも、少しでも長く生きてほしい一心だった私は、元気だったり苦しそうだったり、体調が安定しないけまりを連れて、毎日毎日病院へ通う日々が続きました。

看病疲れ…それでも生きていてほしい

苦しそうなけまりを見るのも辛く、金銭的にも辛く、それでも長く生きてほしい。そんな様子を見かねたのか、ある日、先生が1つの提案をしてくれます。

「これからかなりの期間、この闘病生活が続くことになるので、自分で点滴をする方法を覚えた方がいいと思います。今からやり方を見せますので、今日から家で点滴をしてください。皮下点滴なので、そんなに難しくはありません。」

家で点滴??? 「無理です!絶対に無理です!!!」

先生からのまさかの提案に、私は一瞬理解ができませんでしたが、「これからずっと続くことなので、覚えてください」と強く言われ、渋々、2週間分の点滴を持って帰ることになりました。

点滴は1日2回、毎日するように指示されます。そして、1回目のチャレンジ。

けまりを捕まえ、足で挟んで動けないようにして皮膚をつまみ、針を刺します。ブスっという皮膚に針が刺さった感触が、怖くて、怖くて、刺している側なのに痛いような感覚がして、気分が悪くなりました。

それでも必死で抵抗するけまりを押さえつけ、「ごめんね」と言いながら、少しずつ点滴の液体が入っていくのを確認します。しかし、当然のことながら、けまりが大人しくしてくれるはずもありません。必至で抵抗するけまりに嚙みつかれ、痛みでうっかり手を放し、針が抜けてしまうと、その針はもう使えないため、次の針に変えて、また押さえつけて針を刺すの繰り返しです。

「もう、無理だ」

ここまでして、けまりは生きていたいのかな? 苦しそうなけまりに、さらに嫌がることをして、それでも生きていてほしいと思うのは、私のエゴなのかもしれない。一所懸命仕事をして、合間に毎日病院に連れて行って、お金も体力も時間もキツイ。そんな状況で、嫌がるけまりを押さえつけながら針を刺して反撃を受け、なんだかお互いが傷だらけの状況に、涙が止まりませんでした。

点滴だけをしてもらうため近所の病院へ

「やっぱり、病院でお願いしよう」

私は、また別のウサギを見てくれる病院を家の近所で探し、状況を説明。主治医は別にいることもキチンと伝えた上で、点滴だけをしてもらえるようにお願いすることを決めました。

やはり、いくらお金がかかっても、心身共に疲れても、けまりの命を諦めることはできなかったのです。

近所の動物病院で払う点滴代は1回4000円。たった4000円で、私自身にとってもけまりにとっても、ストレスなく点滴をすることができました。しかし、されど4000円。これを1日2回、毎日支払うとなると少し恐ろしくなります。それでも1日8000円で、けまりの体調が安定するならと、私はその病院の朝1番の枠を毎日予約し、点滴に通い続けました。

先川知香:モータージャーナリストとして全国各地を駆け回る、乗り物が大好きな干物系女子。ウサギの「けだま」と出会ったことをきっかけにウサギの魅力に夢中になり、現在は3代目愛ウサギの「ゴジラ」と同居中。

《先川知香》

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