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【ズボラ女子とわがままウサギ vol.14】何も食べてくれない…とにかく胃腸を動かすために行ったこと

ホーランドロップイヤーのけまり
  • ホーランドロップイヤーのけまり
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  • 果物も用意
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どんな状況になっても、主治医の先生を信じると決めた私と、けまりの闘病生活は約1年続きました。

子ウサギの時期にいろいろな物を食べさせておくことの重要性

この闘病生活が始まってから、けまりの体調が安定することは最後までありませんでした。そんな中でも一番困ったのは、「うっ滞」の時のようにお腹がつまってしまっているわけではないのに、何も食べてくれない時期でした。

ウサギは犬や猫とは違い、常に食べ物を食べていないと、体に不調をきたす体質だと言われています。なぜなら、うさぎにとってチモシーなどから摂取する繊維質は栄養素なだけでなく、腸を動かす原動力にもなるため、食べ物、特に繊維質をとらないと胃腸が動かなくなり、胃腸内に停滞してる食べかすが異常発酵を起こし、ガスがたまってしまうのです。そして、そのガスによってお腹がパンパンに膨れ上がり、苦しくなってさらに食欲が低下するという悪循環に陥ってしまいます。

他にも栄養の吸収が滞ると、ウサギはエネルギーを得るために全身から脂肪を肝臓に集め、これをエネルギーに変えようとする性質を持っています。しかし、全身から集まってきた大量の脂肪を肝臓が処理しきれなくなって、肝機能が低下。やはり危険な状況に陥らせてしまうそうで、特に肥満ウサギは要注意です。

日頃から肥満に気をつけることが長生きの秘訣

けまりはホーランドロップイヤーの中でもかなり大きい方で、適正体重は2.3kg程度と言われていましたが、当時のけまりは食欲があまりないことが多かったにも関わらず、2.4kgから2.5kgを行ったり来たり。先生によると、この状況も循環が上手くいっていない証拠だそうで、体重を戻すように何度も忠告を受けました。

食べ物を食べなくても不調、食べても循環が上手くいかず体重が増えてしまって不調、という難しい状況。こうならないためにも、常日頃から愛ウサギの適正体重を把握して、肥満に気を付けることが、長生きさせるための秘訣と言えるでしょう。

さらに、ウサギは繊維質が腸内に供給され続けていないと、クロストリジウムなどの悪玉菌が増え、毒素などをばらまき始めるように…。それによって腸内細菌のバランスが崩れてしまい、さらに食欲がなくなります。これは、ウサギの体調不良だけが要因なのではなく、飼い主が餌を1日あげ忘れていたなど、物理的な問題で食べることができなかった場合も同様の結果となる、ウサギの性質のようなものなので、とにかくウサギ自身の不調による食欲不振は大問題。なんとか、食べてくれるものを探さなくてはなりませんでした。

強制給餌の難しさ

病院の先生の話では、ウサギは基本的に、繊維質の多い硬いチモシーを主食にすることが理想で、ペレットフードやおやつはサプリメントのようなイメージ。あげなくてもいいとのことでしたが、それは大人のウサギの話。生後6か月までは十分な栄養が必要なため、ペレットフードもチモシーも食べ放題にすることに加え、果物や雑草などを含め、色々な食べ物を食べさせた方がいいそうです。

それは、もちろん成長に必要な栄養を摂らせるためでもありますが、大人になってから、現在のけまりのような食欲不振になった際に、子どもの時に食べたことのあるものは、食べてくれる可能性が高まるという理由もあるから。しかし、けまりは子どもの時からペレットフードとチモシーに、果物とおやつなど、限られた食べ物しか与えていなかったため、スーパーや八百屋に売っている、いろいろな野菜を試しましたが、ほとんど食べてくれる気配はありませんでした。

そうなると、前述したような理由でますます食欲がなくなり危険なため、強制給餌をすることになります。強制給餌は、ペレットフードを粉末状にしたような専用のラビットフードを果汁100%のジュースなどでペースト状に溶かし、大型のシリンジを口に突っ込み、喉の奥に無理矢理流し込むというもの。私にとっては、点滴の次に“キツイ作業”でした。

ウサギは体の構造上嘔吐ができないようになっているそうで、嫌がるけまりの顔を押さえつけて、大きなシリンジを口の奥まで無理矢理突っ込み、喉の奥にペーストを流し込みます。何度もけまりに嚙まれながら、結局2人とも満身創痍。それでも、どんなに嫌がっても食べ物を体内に流し込み、胃腸を動かさなければ、けまりの命はありません。

私は毎日、けまりがいつでも自分で食べれらるように、色々な野菜や果物を用意しつつ、強制給餌やお腹のマッサージなどを続けました。

先川知香:モータージャーナリストとして全国各地を駆け回る、乗り物が大好きな干物系女子。ウサギの「けだま」と出会ったことをきっかけにウサギの魅力に夢中になり、現在は3代目愛ウサギの「ゴジラ」と同居中。

《先川知香》

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