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完全人工環境下で産卵時期をコントロールしたサンゴが抱卵…イノカが発表

完全人工環境下で産卵時期をコントロールしたサンゴが抱卵
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東大発サンゴベンチャー企業のイノカは、1月6日未明、人工的にサンゴ礁の海を再現した閉鎖系水槽にて、サンゴ(種目:コユビミドリイシ)の抱卵時期のコントロールに国内で初めて成功したと発表した。

同社は、独自技術である環境移送技術により、完全人工環境下においてサンゴの健康的な長期飼育に成功している。完全人工環境とは、人工海水を使用し、水温や光、栄養塩等のパラメーターが独自IoTシステムによって管理された水槽(=閉鎖環境)のことを指す。

さらに今回の実験では、環境移送技術を活用し沖縄県瀬底島の水温データを元に、自然界と時期をずらして水温を同期することで、抱卵時期のコントロールに成功。抱卵の判定については、黒潮流域の生態系に関する調査研究を行っている黒潮生物研究所・目崎拓真所長に画像データを元に確認してもらったという。

再現性の高い完全人工環境下での抱卵実験に成功したことにより、自然界では多くのサンゴ種が1年に1度と限定的な抱卵を、人為的に導くことが可能となった。さらに、国内初となる完全人工環境下におけるサンゴ産卵成功に向けた実験を継続しているという。

同社は、同実験が進むことにより、ハツカネズミやショウジョウバエのように何世代にもわたって研究調査を行うモデル生物としてサンゴを扱うことができるようになれば、サンゴの基礎研究が大きく進み、サンゴ保全に寄与すると考えられるとしている。

《鈴木まゆこ》

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